美容室や写真館にも影響

振袖など晴れ着姿の新成人でにぎわった今年の奄美市の成人式(1月3日、奄美市名瀬の奄美文化センター)
 
 
成人式中止
「感染リスク、中止仕方ない」
写真撮影のみ新成人も

 

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、奄美市など奄美群島すべての自治体が来年1月に予定していた成人式の中止や延期を決めたことで、着付けやヘアメイクなどを行う美容室や撮影する写真館などへの影響が懸念されている。ただ、「キャンセルなどの影響はあるが、感染リスクなどを考えると仕方ない」など冷静に受け止める経営者も多く、「写真撮影自体はそれほど減っておらず、感染の不安のほうが大きい」などと、感染発生を心配する声が聞かれた。

 県美容生活衛生同業組合奄美支部は、今月初め、奄美大島と喜界島の53加盟店舗に成人式の開催について聞き取り調査を実施。多くの店舗から安全面を第一に考えた対応を求める意見が相次いだという。同支部は「店舗ごとに状況は違う」としたうえで、「美容業界にとって成人式は一番のかき入れ時。少なからず影響はあるのではないか。ただ、感染リスクを不安視する声も多く、中止という判断にほっとしている加盟店も少なくない」などとしている。

 奄美市内で美容室を経営する男性は「正直、経済的損失はかなり大きい。この日のため、一年かけて準備してきただけに残念な思いはある」と苦しい胸の内を吐露する一方、「新成人の多くが島外から帰省することを考えると、中止と言う判断は仕方ない。スタッフの安全確保という面でも、現状を受け入れるほかない」などと話した。

 別の美容室の女性経営者も「無症状の感染者がいることを考えると、新成人の中に感染者がいてもおかしくない。万が一、利用客から感染者が出たら、それこそ店がつぶれてしまうかもしれない」などと話した。

 同支部によると、成人式が中止となっても写真撮影などのため「帰省する新成人は一定数いる」といい、式当日の予約客が減る一方、年末年始にかけ、分散して予約するケースが増えているという。

 例年、成人式当日に約40件の記念写真撮影を行っているという奄美市の写真館では、数件のキャンセルがあるものの、例年の7割程度は予約があり、「それほど大きな影響は出ていない」という。この写真館では、入り口に非接触型の体温測定器を設置するなど感染対策を取っているが、経営者は「着付けを終えた状況で来店するので、熱があっても断るのは難しい。感染対策をどこまで徹底できるのか、最後は客の判断に任せるしかない」と複雑な心境を語った。