県は17日、従業員など4人の新型コロナウイルス感染が判明した奄美市名瀬金久町の飲食店「CLUB FIRST ONE」(クラブ・ファースト・ワン)について、「来店客など不特定多数に感染が拡大している恐れがある」として、店名を公表した。6日から14日までの間に同店を訪れた客らに対し、名瀬保健所内に設置している受診・相談センター(電話0997―52―5411)への連絡を呼び掛けている。
県によると、感染が確認されたのは同店の複数の従業員とその関係者ら計4人。性別や年代、居住地、感染が確認された日付などは明らかにしていない。4人は、8日以降に新型コロナの症状を発症、医療機関でPCR検査を実施、感染が判明した。
同店は同市の繁華街屋仁川にある接待を伴う飲食店。17日現在、利用客の感染は確認されていないものの、従業員が店内で接客する際、マスクを着用しておらず、利用客の名簿も作成されていなかったため、不特定多数への感染が懸念されることから、店名を公表した。県は、同店でのクラスター(感染者集団)とは判断していない。同店は15日から休業している。
屋仁川の飲食店の従業員から感染者が出たことについて、市内の飲食店約90店舗が加盟する奄美市社交飲食業組合の伊東隆吉理事長は「従業員の感染が判明した店舗は、組合に加盟しておらず、どのような感染対策を行っていたか今のところ分からない」としたうえで、「年末以降、市内での感染が拡大傾向にあり、心配していただけに残念。市内の飲食店全体にとって大きな痛手だが、今後さらに感染が広がらないよう、これまで以上に予防策を徹底するしかない」と話した。
屋仁川で接待を伴う飲食店を経営する女性(40代)は「多くの店が検温や手洗い、アルコール消毒などを念入りにしていている中で、感染が防げなかったのがとても残念。感染者が出たことで、利用客が減ることは間違いなく、感染を恐れて休業する店舗も出てくるのでは」などと話し、昨年4月以降、厳しい経営が続くなか、さらなる経営環境の悪化を懸念した。
また、県による店名公表を受け、奄美市は、「飲食店への個別訪問などを通し、感染対策をさらに徹底するよう体制を強化したい」としており、接客を伴う飲食店に対しては、市作成のチェックリストの活用を呼び掛けるなど、社交飲食業組合などと連携した対策を実施。市職員に対しても感染防止の強化を指示した。