『長寿』をテーマに伝統野菜生かした開発を

参加者に熱く語る梛木さん

田中完大島支庁長や鎌田愛人瀬戸内町長らと記念撮影する花立弘子さん(中央左)

かごしまの“食”交流推進協
食育日本料理家梛木春幸さん講師
厚労大臣表彰に花立弘子さん

 大島地域かごしまの”食“交流推進協議会(会長・石神康郎奄美市農林水産課長)は22日、奄美観光ホテルで大島地域食育・地産地消推進研修会を開催した。同協議会会員ら約95人が参加し、食について理解を深め、地域活性化につなげる事例を学んだ。また、開会前には2020年度栄養関係功労者厚生労働大臣表彰の伝達式が行われ、食生活改善事業功労者として花立弘子さん=瀬戸内町=が表彰された。

 同研修会は、地産地消を基本とした健康で豊かな食生活を実現するための取り組みを推進することが目的。

 今年は食育日本料理家の梛木春幸=なぎしゅんこう=さんを講師に迎え、「世界に誇れる奄美の食文化!」と題して講演会が行われた。  

 梛木さんは枕崎市出身。京都の老舗料亭で修業後、割烹料理店等で総料理長などを務めたが、母親の看病を期に帰郷。16年前から板前の立場で日本料理をベースとした食育活動を始め、年に250本もの講演を行い、パリ、シンガポールなど海外講演も。また、地域の食材を使った地域活性化事業を手掛け、奄美高校レストランのプロデュースも行った。

 梛木さんの食育は三つのコンセプトで行っている。一つめは「地産地消」。その土地の風土(気温、気候、湿度など)に合ったもの、その土地で育ったものをいただくことがいちばん体によいという。梛木さんは「奄美や徳之島は『長寿』、しかも元気で長生きな方が多い。これは奄美の食文化がいちばんの理由だと考えている」と話した。

 二つめは「食文化」。刺身のツマは腹痛止めと解毒作用があることなどを例に、自分たちの子孫が健康であるように伝えた食文化が日本料理だと説明。奄美の食文化は琉球、薩摩、そして平家の位の高い人達の三つの文化が入り交ざっており、お祝いの際の「三献」が皇室でも行われているという。梛木さんは観光客向けに食のテーマを『長寿』にして、マコモなどの伝統野菜を使った商品開発を呼び掛けている。

 三つめは「できるだけ化学調味料や添加物、防腐剤などを避ける」こと。「人は口から入れるものでできている。少しでも気づいたときに減らすようにするだけでよい。旬のものを食べることも大事」と話した。

 また、梛木さんが開発した「桜島灰干し弁当」や錦江湾のエイを使った料理、伊佐市の伊佐米膳、その他自然の中でフルコースを食べる「ダイニングアウト」などの事例を紹介。梛木さんは「やはり『食』は観光にとってすごく大事。おいしくて、ストーリーがあってテーマがあるとリピーターになる。島の宝はいっぱいある。灯台下暗し。自分のような島外の人間が気づくこともあるので、一緒にがんばっていきたい」と語った。

 開会前には20年度栄養関係功労者厚生労働大臣表彰伝達式」が行われた。これは栄養改善および食生活改善事業の普及向上等に功労のあった人や優良な地区組織等を表彰するもので、食生活改善事業功労者として花立さんが表彰された。奄美群島内では3人目の受賞者。

 花立さんは現在、県食生活改善推進員連絡協議会名瀬支部評議員、瀬戸内町食生活改善推進員連絡協議会会長を務めている。花立さんは25年に渡り同会長として活躍し、郷土料理や減塩食などを広め、また食文化継承にも尽力した。花立さんは「思いがけず立派な賞をいただいたが、私一人ではなく、皆さんの代表としていただけたと思っている。役場の方々のご指導のおかげとみんなの協力があればこそ。感謝している」と語った。