総務省はこのほど社会保障・税番号(マイナンバー)カードの交付実績(1月1日現在)を発表した。新型コロナウイルス対策で昨年実施した一律10万円の特別定額給付金の申請利用や、キャッシュレスを促進する政府の「マイナポイント事業」が後押しした2020年は交付件数が急増。奄美の自治体でも交付率ベースで前年比4・1~18・1 ポイント増となっており、例年にない伸びを見せていた。
国民全員に番号が割り当てられるマイナンバー制度。取得すると社会保障や税、災害などで手続きがスムーズ化されるなどのメリットがある。マイナンバーカードの20年交付実績は1184万7315枚となり、年間交付枚数としては過去最多となった。
発表によると20年交付率は国全体で24・2%、鹿児島県全体で22・3%。奄美群島は12自治体が2ケタを達成し、そのうち8自治体が20%超え。自治体別では宇検村(36・8%)をトップに、以下、奄美市(29・7%)、知名町(28・2%)と続く。
奄美での交付率の伸びを見ると、直近の年間ベースでは19年1・1~3・3 ポイント、18年1・0~4・2 ポイント、17年0・8~6・8 ポイントとなっているのに対し、20年は3自治体が10 ポイント以上で、他自治体も4・1~9・3 ポイント。全体平均8・3 ポイントと近年に比べて伸びが顕著となっている。
群島自治体で前年から最も高い伸び率の宇検村では行政窓口での手続きをサポート。「周りが持っているからとして、お年寄りからも問い合わせも少なくない」(住民税務課)。
交付件数が1年間で4330枚となった奄美市は、マイナポイント利用に関連した問い合わせが多かったと明かす。市民課は「スーパーなど事業所でのキャッシュレス利用できるため市民の関心が特に高まった。あると便利という意識が醸成されているのでは」。現在、月2回の休日開庁で手続きを促している。
全国的にカード交付が急増した背景は、キャッシュレスで買い物をすると1人最大2万円の利用に対し25%(5千円)分のポイントが付与される「マイナポイント事業」がある。また制度PRのテレビCMの回数も増えており、金融機関の口座との〝ひも付け〟を模索する政府の動きも活発化している。
その一方、22年度末までに「ほぼ国民に普及させる」という政府目標の達成見通しが厳しい状況。申請促進策を一層、図っていくと見られる。
カード発行を所管する総務省住民制度課は奄美新聞の取材に対し、「住民生活に密着した利活用の部分が増えることでカード取得の機運が上がっていく」と期待感を示した。