笠利町佐仁小「環境教育」公開研究会

蝶と食草について児童から説明を受ける参加者たち

研究協議では活発な議論が行われた

「後輩に受け継ぎたい」活動へ

 奄美市笠利町の佐仁小学校(花房八重子校長、児童11人)で2日、「環境教育」の公開研究会が開かれ、小中高校の教職員ら約50人が参加した。同校が実践する環境教育に関する研究発表や児童による成果発表、それらを基にしたグループ討論等で教育方法などについて理解を深めた。

 同校は2019・20年度鹿児島県研究協力校の指定を受けて、環境教育に取り組んでいる。研究主題は「郷土の豊かな自然に誇りをもち、次代で受け継いでいこうとする子どもの育成~オオゴマダラを中心とした蝶の生態調査と飼育観察活動を通して~」。同校は17年前からオオゴマダラを飼育しており、これを題材とした。

 研究発表では湊江里奈教諭が発表。「主体的に自然環境から学ばせる」ために①地域人材との連携②毎週火曜日の朝の活動として縦割りペアでの「蝶タイム」の設定③オオゴマダラコーナーの設置④総合的な学習の時間や生活科における飼育観察⑤「貴重な動画集」の作成と活用ーを行ったと説明。また、「主体的に自然環境にかかわらせ、働き掛けさせる」ために食草(昆虫が餌とする特定の植物)の栽培にも主体的にかかわらせるなど工夫を凝らした。これらによって誇りが生じ、「後輩に受け継ぎたい」という意欲が高まったという。

 児童からは「オオゴマダラの生態調査について」「佐仁小学校に飛来する蝶とその食草について」のスライドによる成果発表があり、その後全員校庭に出て、児童の説明により「食草マップ」に基づくフィールドワークが行われた。

 研究協議では、これまでの研究発表や児童の成果発表を受けての感想や意見を共有。「子どもの発表がイキイキしており、よく知識がついている。失敗も次につながっていてよい」などの声が。その後、次年度の指導テーマとなる「共生の視点」について具体的な場面設定に対し、どのような意図をもってどんな対応をするかをグループ討議し、全体共有した。大島教育事務所指導課指導主事の久保博之さんは「葛藤する場面でも多面的に考える気づきをつくり、子どもと一緒に考え、かかわることが重要」と助言した。