子ども食堂に企業も協力

里山興業からの協力金を受け取る長井代表(写真右、10日午後6時ごろ、瀬戸内町古仁屋)

「こどもたぬき食堂」の弁当には「“おいしい”で笑顔になろう」とメッセージが添えられている

「地域巻き込んだ子育て支援」
瀬戸内町「こどもたぬき食堂」

 地域の子どもたちに無料、もしくは低額で弁当などの食事を提供する「子ども食堂」――。奄美大島島内でも近年活動が活発化。地元企業が支援する動きも出てきており、地域を巻き込んだ子育て支援の輪が広がる。

 3年ほど前から、瀬戸内町内で子ども食堂活動を行っている同町古仁屋の任意団体「こどもたぬき食堂」(長井聡子代表)。月1ペースで手づくりのお弁当や菓子類を中学生以下の子どもたちに1食100円で提供している。

 「たぬき食堂」は子育て世帯の支援に賛同した個人ボランティアや各種団体による食材提供で成り立っている。運営はメンバー10人が支え、弁当の用意や販売ブースの設営などを担う。地道な取り組みは口コミやSNS(会員制交流サイト)で広がり、いまでは100人以上を数えるリピーターや母親が参加している。

 団体の運営を後押ししようと9日、同町勝浦の里山興業(里山純高代表取締役)が業務で販売する製品の売上金の一部(5万円)を協力金として提供。企業から団体への寄付の申し出は初めてという。

 同社の若手社員が社会貢献活動の一環として行ったもの。長井代表に寄付金の目録を手渡した社員の龍山俊彦さんは「地域のために頑張る団体を少しでも応援できたら」と話した。

 同日夕方は今年最初の子ども食堂をオープン。古仁屋市街地の飲食店「呑処トリキヤ」前で弁当100食を販売した。この日のメニューはウインナー、から揚げなどおかず5品にご飯をセット。島内のフードバンクから無償提供されたお菓子とお茶ボトルも付けた。

 午後6時の開始には次々と予約した親子や子どもたちが詰め掛け、100円玉を握りしめた児童らがお弁当を受け取った。この日は売り出しから1時間ほどで完売した。

 古仁屋の田中ちさのさん(42)は2児を子育て中。初めての参加だが「共稼ぎなのでこうした家族への支援はうれしい」と喜ぶ。

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 「こどもたぬき食堂」は立ち上げから実費での活動を続けていたが、今回の寄付金を活用して地元飲食店に弁当を発注。店側も協力して食堂オープンを全面的にサポートした。

 「子育てでゆっくりできないママのため、食事の準備の手助けが目的」と長井代表。

 今回の動きをきっかけに「支援の輪が循環できた」と振り返り、地域や応援する企業や団体を巻き込みながら、子育て支援に意欲を示す。町内外での展開も視野に、引き続き関係機関に協力を呼び掛けていくという。

 団体への支援や問い合わせは電話080―5343―1651(長井代表)まで。