36人が方言で演技

迫真の演技で観客を魅了した=知名町、あしびの郷・ちな=

知名町・町民創作方言劇「ヒーヌムンの生まれた海」

【沖永良部】知名町のおきえらぶ文化ホールあしびの郷・ちな開館20周年記念事業・町民創作方言劇「ヒーヌムンの生まれた海」(知名町教育委員会主催)が23日、同ホールであった。子どもから大人までの36人が演技を披露。方言でのやりとりに観客は笑い、涙した。

ミュージカルは太平洋戦争の末期から、日本復帰運動の沖永良部島が舞台。主人公のマサが、ガジュマルに住むヒーヌムン(妖怪)に言われ、浜に倒れていたアメリカ兵のトムを助けるところから物語が始まる。友達になったトムと母親のハナが戦争の犠牲となり、その死を乗り越え成長していく姿を描いた。

出演者は昨年10月から稽古を始め、演技を学びながら方言を習得した。原作は神川こづえさん、脚本・演出は劇作家の金田一央紀さんが担当した。

劇では、日本復帰運動の様子も再現。演者が歌う「復帰の歌」に合わせ、観客も手拍子をしたり、一緒に歌ったりしていた。

主人公のマサ(少年時)を演じた根釜由空さん(14)は「友達や母親の死をどうやって表現するか難しかった。みんなに応援されて最後まで演じることができた」と笑顔で語った。 

脚本・演出の金田一さんは「全て沖永良部の人で作り上げたお芝居。島の宝にしていってほしい」と話した。