竹井校長から卒業証書を受け取る卒業生
県内の公立高校の多くで1日、卒業式が行われ、奄美市名瀬の大島高校では第72回卒業式があった。コロナ禍を経験した卒業生は、多くの行事がなくなり、口惜しさと無念をかみしめた未曽有の日々を嘆きうらやんだ。が、将来に向けて真剣に進路実現への舵を切った自分との闘いの日々だったと辛かった胸の内を吐露、「コロナ禍で残念、かわいそうではなく、強さとたくましさを持った学年」と胸を張り誇らしげに巣立った。
卒業式が行われた同校体育館には卒業生248人(男109人、女139人)がそろい、同校では、在校生の参加は見送ったものの、生徒1人に対して保護者1人が式に参加できるように配慮し、50年前の卒業生代表2人も参列した。
各学級の卒業生の名前が呼び上げられ、代表1人が壇上に上がり竹井俊久校長から卒業証書を受け取った。竹井校長は、新型コロナウイルス感染症に翻弄された卒業生たちに「制約制限ある中で、学び合って成長していく様を見て誇らしく思う。今後は自分の頭で考えて未知の問題を解決できる新しいリーダーになってほしい。①たくましい知性を備えて②しなやかな感性を育て、グローバルリーダーになって母校に帰ってきて欲しい」と式辞。
同窓会組織の安陵会の丸田卯禮夫会長は「これからは同期の絆を深め、後輩の力になって欲しい。信用と信頼が大切。諦めることなく希望と夢に向かって進んでほしい」と祝辞を述べた。
2年生の川内優紀江さんが在校生を代表して「コロナ禍の中、先輩達が後輩に寄り添ってくれたことで、学校生活を充実に過ごせた。数々の壁を乗り越えてきた先輩たちを誇りに思い、その礎と絆を引き継ぎ、発展させていく」と送辞を述べた。
3年生の箕輪千里さんが「コロナ禍で多くの行事がなくなった。口惜しさと無念をかみしめた。未曽有の日々に戸惑い嘆き、恨むことも。それをやめて将来の進路実現に立ち向かった。自分との闘いの日々だった。先生たちのおかげで、成長することが出来た。可能性を最大に引き出して寄り添ってくれた」と涙ながらに答辞を述べ、保護者達への謝辞を伝えると、参列者からも嗚咽がもれていた。
卒業生たちは、退席の際に、ようやくマスクを取り外し、参列している保護者たちへ笑顔をふりまいた。
卒業して50年目の参列がかなった普通科22回卒の田丸友三郎さんと商業科10回卒の吉野孝夫さんは、昨年はコロナ禍で卒業生が締め出されたことから、今回は参列ができないとあきらめていたが、2人に案内状が届いたという。「うれしかった。卒業式は忘れたけど、厳粛厳かで一味違うと思った。今の大高生はよく考えているよ。後輩たちは素晴らしい」と語った。