県議会一般質問

「夏の世界自然遺産登録期待」
請、与路ワクチン接種順位なし
奄美パーク20周年 年間平均13万人利用

 3月定例県議会は5日、引き続き一般質問があり、田畑浩一郎議員=自民党、南九州市区=、中村素子議員=自民党、阿久根市・出水郡区=、柳誠子議員=県民連合、鹿児島市・鹿児島郡区=、向井俊夫議員=自民党、奄美市区=が登壇。向井議員が取り上げた奄美・沖縄世界自然遺産登録は、6~7月に中国福建省福州市で世界遺産委員会が開催され、その6週間前にはIUCN(国際自然保護連合)の勧告が行われる予定。奄美大島や徳之島は、アマミノクロウサギなど国際的に貴重な固有種に代表される生物多様性の保全上、重要な地域であるとして県当局は「次の世代に引き継ぐべき人類共通の財産であることから、今後も守り続けていくには夏の世界自然遺産への登録を期待している」と強調した。

 松下正環境林務部長が答弁。外来種防除については「奄美大島や徳之島では外来種に対する意識の醸成が図られてきており、市町村や地域団体、エコツアーガイド、建設業者など多様な主体によりアメリカハマグルマなど外来種の駆除活動が盛んに行われている。こうした生態系を保護する活動が広がっていることを評価するとともに大いに感謝している」と述べ、県としては▽県内の生態系に影響が及ぶ恐れのある外来種の普及啓発▽外来種防除マニュアルの作成公表▽外来動植物対策推進員の設置―により必要に応じ助言指導していくとした。

 新型コロナウイルス対策では、離島における接種体制が質問された。地頭所恵・くらし保健福祉部長は国の方針を説明。高齢者の人口が概ね500人未満、また総人口が概ね1000人程度未満の離島や市町村の場合、「接種順位に関わらず接種を行えることを示している」として、2015年の国勢調査によりこの要件に該当するのは奄美では瀬戸内町の請島と与路島とした。接種後の副反応についての説明も。地頭所部長は「国の予防接種に関する手引きには市町村が医療機関以外で接種を行う場合、被接種者に重篤な副反応が見られた際に応急治療ができるための救急用品の準備を行うとともに、発症者を速やかに治療するためあらかじめ搬送先について医療機関との連携体制確保が求められる」と述べた。

 名瀬港旅客ターミナスの新たな整備について兒島優一土木部長は「業者などと協議を行い市街地側と長浜地区の両岸壁を使える中央付近に計画している」と述べ、設計に関する費用を新年度の予算に計上しているとした。

 昨年11月に奄美大島の建設業4社が「奄美の海を守る会」(ボランティア団体)を設立、海上災害での迅速・的確な応急対応に向けて昨年末、県に対し災害協定を求めたが、兒島部長は「現在、同団体の作業船の保有状況など海上災害時の応急対応が可能か検討を進めている」と報告した。

 開園20周年を迎えた奄美パークについて塩田康一知事は「01年から19年度末までの累計で奄美パーク、田中一村記念美術館合わせて251万人余り、1年間平均で13万人余りの観光客が利用している」と報告。指定管理者が行った来園者アンケート調査では「満足度が約9割となり、『奄美の自然や文化に触れることができる』『田中一村の作品を堪能できる』など来園者から高い評価を頂いている」として、塩田知事は「奄美群島の観光拠点として大きな役割を果たしている。今後とも施設機能の維持充実に努める」と述べた。