ユニバーサルツーリズム成果報告会

会では県大島支庁などの自治体、福祉施設・高齢者団体代表など約20人がオンラインで参加した

誰もが楽しめる観光を 県大島支庁

 高齢者や障がいの有無にかかわらず、誰もが楽しめる観光を目指す「ユニバーサルツーリズム推進事業」(県大島支庁主催)についてのオンライン成果報告会が11日、奄美市名瀬の県大島支庁であった。先進地事例やツアーのモデルコース案が示され、現状や課題など意見を交換。奄美大島での誘客や受け入れ体制の構築に向けた可能性を探った。

 事業は、あらゆる旅行者が楽しめる観光地を目指すことで交流人口の拡大、他島との差別化を図ろうと検討するもの。ユニバーサルツーリズムの普及に向けては、施設整備や移動手段の確保、季節や天候に左右されないツアーの構築など課題も多い。

 先進地事例では、車いすトラベラーの三代達也さんが「島旅の魅力」と題し、ハワイや沖縄、小笠原で体験したバリアフリー観光を紹介。三代さんは、施設の設備、人の補助、車いす対応レンタカーなどの情報発信がないことは旅行を断念させる要因になるとした上で、「車いすでは10㌢程度の段差でも身構える人がいる。ささいなことでも対応できるかどうか判断できる情報開示が重要」などアドバイスした。

 モデルコース説明では、奄美大島、沖永良部島、徳之島でのツアー調査・視察を経て3島4コースが提案。質疑では「民間では資金に限界もある。移動手段確保にしっかりと予算を」「障がい者や高齢者には疲れやすい人も多い。(コースを)詰め込み過ぎると楽しめない」「一元的に対応できる相談窓口が必要」などの意見が出た。

 三代さんは「設備が完璧じゃなくても人というバリアフリーでサポートできる。ハード(設備)とハート(心)。いいバランスが生まれればリピーターも増える」と改めて強調。田中完支庁長は「生の意見を具体的に把握しながら進めていくことが大事。多様な島の構築へ来年度に向けてもいいスタートが切れた」と評価した。