マングース根絶に向け目撃情報協力を

生徒たちに目撃情報協力を呼び掛ける阿部所長(左)と山室さん

 

配布されたマグネット

環境省、住用中で出前授業
マグネット・チラシも配布

 環境省奄美群島国立公園管理事務所は、特定外来生物フイリマングースの奄美大島からの根絶を目指し、マグネット・ポスター・チラシの配布や出前授業を行い、島民への目撃情報収集の協力を呼び掛けている。

 奄美大島では1979年、ハブやネズミの駆除を目的にマングースが奄美市名瀬に約30匹放され、急速に増加拡大。2000年には約1万匹と推測された。アマミノクロウサギなどの希少種等を捕食し、生態系に深刻な影響を及ぼした。

 同省では00年度に奄美大島でのマングース駆除事業を開始。05年度からは「奄美マングースバスターズ」を結成し、外来生物法に基づく防除事業を実施。18年4月を最後に現在までマングースの捕獲がない状態が続いている。根絶に向け、島民や来島者のマングース目撃情報を収集することが重要と考え、協力を呼び掛けるためマグネット・ポスター・チラシの配布や出前授業を行うことにした。

 マグネット(名刺サイズ)は奄美大島内の全ての小中学生・高校生に配布。ポスター・チラシは行政施設や商業施設に配布し、掲示してもらうことに。

 12日、同事務所と奄美マングースバスターズは奄美市立住用中学校(小田敬介校長 生徒12人)で、全生徒および教職員に向けて出前授業を行った。マグネット配布に併せて目撃情報収集の意図を理解してもらうのが目的。

 講師は奄美マングースバスターズの山室一樹さん(60)。山室さんは動画を用いて奄美の生きものを紹介した後、同島の森の食物網の特徴として、大形・中形の肉食性哺乳類がおらず、頂点にいるのはヘビや鳥であることを説明。希少な生きものが減る原因として▽生息地の破壊▽人と自然とのかかわりの変化▽人が環境へ持ち込むもの(外来種、化学物質等)▽温暖化の影響―などを挙げた。外来生物(外来種)とは人によって持ち込まれた生きもので、同島の森にマングースが持ち込まれたことにより、生態系が崩れ、さまざまな希少動物が激減したことを説明。その後、マングースバスターズの活動を紹介し、在来種が回復しつつあることを伝えた。これまでの捕獲数は3万2647匹だという。

 同事務所の阿部慎太郎所長は「根絶の確認のためにも皆さんの協力が不可欠。周りの大人にも伝えてほしい。マングースと思われる動物を見かけたら、奄美野生生物保護センター(0997・55・8620)へ連絡してほしい」と呼び掛けた。

 参加していた潤井あいさん(14)は「外来種が入ってきたのは人間が悪かったとわかった。ちょっとかわいそうだが、固有種を守るためにはしかたがない。マグネットは親の車に貼り、みつけたら連絡したい」と話した。