震災復興へ奄美から歌声

築島成子代表(手前)の指揮に合わせて歌うラ・メール合唱団メンバーとピアノを弾く脇田さん(右)

路上ピアノでつなぐ3・11
名瀬商店街で祈りのハーモニー

 東日本大震災の発生時刻に合わせ、路上に設置したピアノを演奏して犠牲者に鎮魂の祈りを届ける追悼イベント「ストリートピアノでつなぐ祈りのハーモニー」(同プロジェクト実行委員会主催)が11日、奄美市の名瀬中央通りアーケード商店街であった。全国8道府県参加の一斉イベント。参加者らは、震災のあった時刻に東北に向かって復興支援ソングを合唱し、奄美から一日も早い被災地の復興を願った。

 イベントは、鹿児島市の鹿児島まち自慢快発考舎が企画し10回目。奄美市では、趣旨に賛同した保宜夫さんが実行委を立ち上げ、2016年から参加(20年はコロナ禍で中止)している。

 セレモニーは、復興の象徴であるストリートピアノを演奏し、震災のあった時刻に全国一斉で歌うもの。南は奄美市から、北は北海道まで全国8道府県15会場で参加。奄美市では、同市の前田社会保険労務士事務所寄贈で龍郷町の放課後児童クラブ・ドラゴンキッズクラブ児童がペイントしたストリートピアノを使い、4歳からピアノに親しんでいるという大島高校1年の脇田菖吾さんが演奏した。

 午後2時46分、市役所のサイレンが鳴り響くと東北の方角に向って全員で1分間の黙とう。伴奏が始まると女声合唱団「ラ・メール」が歌をリード、集まった約100人の観衆と声を合わせて「ふるさと」「花は咲く」を歌い上げた。

 演奏を終えた脇田さんは「(震災当時)家族と映像を見たけど言葉がなかった。祈りを込めて思いが届くように弾いた」と話し、実行委の保さんは「これを機に、一人ひとりの防災意識の高揚につながれば」。合唱に参加した同市名瀬の60代女性は「震災を忘れないため、思いを一緒にできてよかった」など話した。

 なお、イベントでは龍郷町の防災士・圓和之さんによる防災講話、ラ・メールによるミニコンサートなども行った。