宇検村、光センサー選果場利用促進へ

光センサー選別機能を備えた奄美大島選果場。利用促進へ宇検村は手数料の補助を行った

手数料など補助 ブランド確立事業一環で
選果委託、申込上回る実績に

 奄振のソフト事業で整備された光センサー選果機による選別が可能な奄美大島選果場は利用向上が課題だが、宇検村は今年度、村内タンカン農家の利用を促進しようと、選果料と利用料などの補助に乗り出した。光センター選別ならバラつきのない品質保証ができることに着目、作物への信頼を前提とした「うけんブランド」確立につなげる。

 村産業振興課によると今年度からの新規取り組みで、総事業費は約100万円。同選果場はJAあまみ大島事業本部が管理運営しているが、選果場利用にあたっては選果料と利用料を手数料として徴収している。

 同村ではこれに加え、奄美市名瀬朝戸にある選果場までの集荷運賃(宇検村―選果場間)まで補助。「1㌔当たり36円(最大)」一律で支援しており、選果の委託だけでなく、販売をJAに任せる共販も含めて対象にしている。手数料はJAが今月中に精算することから、これに基づいて選果場を利用した農家に費用を支払う。

 選果場利用促進は「うけんブランド」確立に役立てるため。同村では今期のタンカン出荷にあたり、専用のデザインの段ボール(化粧箱)を準備。5㌔箱と10㌔箱の二種類あり、選果委託により光センサーでランク付け(秀・優・良の各規格)されたものを対象に段ボールを配布(5㌔482箱、10㌔142箱)したという。段ボールには「光センサー合格品」を明示した。規格外品は段ボール配布の対象にはならない。

 村産業振興課は「光センサーを利用することで品質保証が可能であり、外観や糖度など品質が間違いないものを消費者(購入者)に届けることで、宇検村のタンカンのブランド価値を高めることができる。手数料の全額補助や専用の段ボール配布は試験的な試みだが、今後も続けていきたい」としている。

 なお、JAによると今年度の取扱目標は共販量で130㌧、委託量(選果委託)111㌧。このうち委託はほとんど終了しており、今月10日まとめで115㌧となり申し込みに基づいた目標を上回った。生産量の多い豊作となった関係もあるが、名瀬や住用地区、大和村・福元地区の大規模農家だけでなく、JAの部会員以外の農家、さらに行政支援により宇検村からは新規の選果委託利用があったという。

 選果委託が増えた一方で課題となったのが製品化(商品化)率の低さ。規格別では秀品10%、優品20%、良品30%の割合となり、残りは流通できない規格外品。JAは「家庭選別をした上で選果場に持ち込み、光センサーを利用してほしい。病害虫被害のものも持ち込まれることがあった。規格外品も通してしまうと手数料の負担が増すだけであり、あらかじめ家庭選別を認識してもらいたい」と呼びかけている。