アマミシリケンイモリ研究の一環で解剖に取り組む生徒たち
奄美市笠利町の大島北高校(下高原涼子校長)の有志生徒らは13日、南九州大学(宮崎県)の秋山繁治教授(理学博士)指導のもと、アマミシリケンイモリの成体2匹の解剖に挑戦した。同日は、今年1月に同町で捕獲し飼育や繁殖などの実験を行っていたアマミシリケンイモリの成体2匹を解剖。生物の知識を実践で習得し、主体的に学びに取り組む態度や探求心を育んだ。
秋山教授によると、日本にはアカハライモリ、イボイモリ(環境省絶滅危惧Ⅱ類)、シリケンイモリの3種が生息していた。うちシリケンイモリは昨年、アマミシリケンイモリとオキナワシリケンイモリと名付けられ、別種として扱われるようになったという。秋山教授は、世界的に両生類が減少傾向にあることや、アマミシリケンイモリが奄美特有の生き物であることから、高校生が関心を持つきっかけづくりとして同研究を提案した。
研究を行う生徒は、川上寛斎さん(普通科2年)、泉大斗さん(同)、川原つづみさん(情報処理科2年)の3人。昨年12月からビデオ会議システムを用いて秋山教授の指導を受けながら、アマミシリケンイモリの生態研究を行っている。同町で捕獲した成体は、オスとメスを判別するために排卵誘発剤を投与。脱走などの理由から7匹になったうちのメスは、2月上旬~3月上旬の間に60匹以上の産卵、孵化に成功した。成体・幼生とも、体重や全長などを毎日測定し記録。13日は、麻酔を投与したオスとメス各1匹ずつの成体を、秋山教授に手ほどきを受けながら解剖。消化器や生殖器などの内臓を認識した。
秋山教授は「教科書などから得る知識に実践が伴うことで、主体的に考え、判断する力が身に付く。また、繁殖の仕組みを知ることは生物保護の基本にもつながる」と考察している。
解剖を体験した川原さんと泉さんは「知識がない状態からの研究だったので戸惑いもあったが、疑問に思ったことを紐解き、生態に関する理解が深まった。解剖は残酷だった一方で、卵が幼生へと日々成長する様子に生命力を感じた」「身近な存在だったものの、知らないことばかりで驚かされた。奄美ならではの生き物の仕組みを知る過程は面白く、研究をきっかけに奄美の固有種に興味が湧いた」とそれぞれ感想を語った。
秋山教授は、大島北高校のほかに、大島高校の生物部へも同指導を行っている。