搭乗前に別れを惜しむ人々(27日夜)=名瀬新港=
スマホのライトや傘かざし転出者へエール
名瀬新港・見送り制限強化
「バイバイ」「元気でね」ーーー。3月末から4月上旬、奄美群島の春を彩る風物詩ともいえる港での見送り。昨年、定期フェリーを運営するマリックスライン㈱は県の自粛要請を受け、恒例の紙テープを禁止に。今年は安全面を考慮し、鹿児島新港と名瀬新港の岸壁の開放も中止とした。そうした中でも27日夜、名瀬新港のターミナルビル2階待合所(奄美市)やデッキには多くの人が訪れ、船に向かって思い思いのエールを送った。
紙テープのほか横断幕の掲示も禁止。待合所に併設されるデッキから船までの距離があることから、見送りに訪れた人は出港間近まで別れを惜しんだ。
宇検村から3人の子どもを連れて宮崎県へ引っ越す松井麻衣子さん(34)の元には、同窓生や地域の仲間、子どもの友人らが駆け付けた。「見送りを自粛するという友人たちからも多く連絡をもらった。大々的に見送りをされてしまうと寂しさが増すので『これでよかった』とプラスに捉えている」と笑顔。娘の音花さん(田検中1年)の見送りに訪れた柳原結=ゆう=さん(同2年)は「引っ越し先でも明るい性格でがんばれ」と激励した。同校では離任式の際に転校者の出発式を行ったという。
搭乗者が船に乗り込むと、雨にも関わらずデッキには大勢の人が。電話をしながら傘を掲げる人、ペンライトやスマホのライトで搭乗者へ合図を送る人など、さまざまな形で出港を見守った。古仁屋中学校(瀬戸内町)の生徒16人は、鹿児島へ引っ越す同級生へむけて卒業ソングや校歌を合唱。出港直前まで歌声が響き渡っていた。