入学式後、正門前で、笑顔で中学校生活について語り合う野崎さん(中央)と新地校長(左)と母、真奈美さん(右)
生徒がおらず休校となっていた瀬戸内町・請島の町立池地中学校(新地哲郎校長)で6日、新入生1人を迎え入れ、10年ぶりとなる入学式が行われた。体育館で行われた式には、保護者のほか島民ら約25人も出席、7年ぶりの中学校の再開を喜び、生徒の新たなスタートを、島を挙げて祝った。
入学したのは、3月に、同中と併設する池地小学校を卒業した野崎凰(こう)さん(12)。中学校は、14年度以降生徒がおらず休校状態が続いていた。入学式は11年度以来となった。
野崎さんは小学3年生の時、同町古仁屋から家族で母方の祖母の実家があった同島に移住。当時、休校中だった池地小に転入、同小の再開にも関わった。
この日行われた入学式には、4年前一緒に同小の門をくぐった同小5年の三ノ京楓花さん(10)と、野崎さんの弟で2年の竜翔くん(8)も出席。野崎さんの中学校入学を祝福した。
保護者や来賓、地域住民らが見守る中、野崎さんが入場すると会場は大きな拍手で包まれた。新地校長は式辞で「凰さんは学校の光であり希望です。将来の夢や希望に向かって成長する姿が見られることが楽しみです」などと激励。野崎さんは「しっかりと勉強して明るく楽しい中学校生活にしたいです」と抱負を語った。
式終了後、校舎2階の教室に入った野崎さんは「緑の山々ときれいな海岸線が見える2階からの眺めが大好き。小学校の教室は1階なので、中学生になれて良かった」と笑顔。担任を務める北薗友実教諭は「これから1年間、二人三脚で楽しい学校生活を送れるようにしたい」と話した。
同校によると、中学校の再開により、教頭1人、中学校教諭2人が増員され、小中学校全体で教職員計9人となった。新地校長は「島民の数も年々減る中、子どもたちは地域の宝。野崎さんの存在が、地域に元気をもたらし、また地域の人たちの愛情をいっぱい受け、子どもたちものびのびと元気に育つことができる」などと話し、学校再開を喜んだ。
母親の真奈美さん(40)は、「少人数で寂しい時もあったかもしれないが、地域の人たちに見守られながら、学校生活を楽しんでいるようだ。これからも最上級生としてみんなを引っ張っていける存在になってほしい」と、その成長を楽しみにしている。
PTA会長の三ノ京浩人さん(56)は「中学校が再開され、先生も増え、島がまた一つにぎやかになった。今後は離島留学生などの受け入れにも力を入れ、島の活性化につなげられたら」と期待を語った。