「ネコによる捕食」と推測

ケナガネズミ(環境省提供)

住用地区集落内のケナガネズミ死亡個体 環境省

 環境省奄美群島国立公園管理事務所は7日、今年2月に奄美市住用地区の集落内で発見されたケナガネズミの死亡個体が「死因はネコによるものと推測した」と発表した。

 ケナガネズミは国指定天然記念物で、日本最大のネズミの仲間。種の保存法で国内希少野生動植物種、環境省レッドリスト2020では絶滅危惧ⅠB類に指定されている。

 今年2月13日に奄美市住用地区の住民から情報提供があり、環境省職員が現地確認をしたところ、頭部がなく胴体のみのケナガネズミの死亡個体を発見。発見の状況からネコに捕食されたものと考え、同省および同市職員により、当該地区の集落区長会において、飼いネコの適正飼養について注意喚起を行ったという。

 同省から国立環境研究所(茨城県つくば市)に遺伝子検査を依頼したところ、死体の各部位からネコの遺伝子が検出された。

 遺伝子検査の結果、死体発見の状況及び発見場所のノラネコ等の生息状況から、本事例は「ネコによる捕食」であったと推測された。外飼いされている飼いネコあるいはノラネコ等、集落を生活の場としているネコが、集落近くに降りてきた希少種を捕食していることが考えられる。集落内で発見された死亡個体の死因が、遺伝子検査も行ってネコによるものとされたのは初めてだという。

 同省が実施しているマングース防除事業の効果として、ケナガネズミ等の希少哺乳類の分布域が拡大しており、今後も同様のことが発生する可能性がある。同省は奄美大島ねこ対策協議会、県大島支庁保健福祉環境部など関係機関と連携し、「奄美大島における生態系保全のためのノネコ管理計画」に基づき、対策を進めていく。

 同省の後藤雅文離島希少種保全専門官は「集落近くに降りてきた希少種が捕食されることのないよう、島民のみなさんにはぜひとも完全室内飼いなどネコの適正飼養をお願いしたい」と呼び掛けている。