IUCN「登録」を勧告

 
世界自然遺産登録見通し 国内5件目
奄美・沖縄

 

 環境省は10日、ユネスコ(国連教育科学文化機関)の諮問機関であるIUCN(国際自然保護連合)が、今年夏の世界自然遺産登録を目指す「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」について評価結果を「登録」と勧告した、と発表した。正式には7月下旬の世界遺産委員会の審査を待たなければならないが、登録に向けて大きく前進した。

 IUCNの評価は「登録」「情報照会」「登録延期」「登録不可」の4段階で示され、ユネスコに報告書が提出される。世界遺産委員会はIUCNからの勧告を踏まえて審査を行う。

 評価が「登録」の場合は、同委員会でもそのまま登録と認められる可能性が極めて高く、余程のことがない限り「登録」勧告を受けたものが覆されることはないという。「情報照会」は登録にあたり、諮問機関から確認を要する点、軽微な修正が必要とされる点があり、その回答や修正によっては、再度の現地調査をせずに、次年度の同委員会で登録が可能になる。「登録延期」は登録に向けて推薦書の抜本的な見直しや再提出後に再びIUCNの現地調査や審議などが必要となるため、最低でも2年後になる。「登録不可」は遺産の価値が認められず、同じ名称、範囲では二度と申請することが認められない。

 奄美・沖縄の世界自然遺産候補地について、日本政府は2017年2月、ユネスコ世界遺産センターに推薦書を提出。同10月にIUCNの専門家が現地調査を実施し、18年5月に「登録延期」を勧告。遺産としての価値は認められたものの、分断された遺産候補地の連続性や沖縄島北部にある米軍北部訓練場返還地の編入、希少種保護や外来種対策、観光地の適切な利用調整などを求められた。

 政府はいったん推薦書を取り下げ、IUCNから指摘された課題に真摯に取り組み、推薦書をまとめ直して19年2月に再提出した。同年10月にIUCNの専門家が追加編入されたエリアなどを現地調査、20年5月ごろに最終的な評価をとりまとめて同委員会に勧告、夏に審査される予定だった。しかし、新型コロナウイルス感染拡大により、同年4月に同委員会の開催延期が決定。これに合わせてIUCNの勧告も先送りとなっていた。

 21年度の同委員会は7月16~31日にオンラインで開催されることが決まっており、ここでいよいよ登録の可否が決定する。