奄美の海、精彩に表現

作品を前に(右から)、松本さん、古谷さん、小泉さん

一村美術館 宇検村出身・古谷さんら4人
日本画など「海の宮展」始まる

 宇検村出身の日本画家・古谷照美さんら神奈川県秦野市を拠点に活動する作家の4人展「海の宮展」が16日から、奄美市笠利町の県奄美パーク・田中一村美術館企画展示室で始まっている。奄美群島の海を描いた日本画を中心に、ガラス彫刻や皮革作品など20点が並ぶ。6月6日まで。

 出展するのは古谷さんのほか、飯田欣子さん(七宝)、小泉昌浩さん(ガラス)、松本裕さん(皮革)の計4人のアーティスト。昨年はコロナ禍で中止となり、一年越しの開催となった。

 古谷さんは1990年ごろ、出産を機に勤めていた市役所を辞め、日本画家に転身した。日本画家の西田俊英などに師事し、横山大観らが立ち上げた日本美術院に所属。2010年には、7歳まで過ごしたという宇検村にアトリエを構え、故郷の海を題材に制作を続けている。

 宇検村の海を描いた新作「ネリヤカナヤ」では、光輝く波の様子や広がる海の深度までを精彩に描写。サガリバナやテッポウユリなど、絵の中には奄美の植物が添えられた作品も多く、いずれも揺れるような波の動き一つひとつまでが、淡目のタッチで繊細に表現されている。

 今回古谷さんは、奄美大島や沖永良部島、与論の海を描いた150号の大作7点を含む12点を用意。3人からも、海や森の精霊を表した皮革製のオブジェ、波を模したガラス彫刻、色鮮やかな七宝作品など、充実の作品が寄せた。

 「自然をテーマに、素材をいろいろな角度から楽しめる」と古谷さん。「地元の人は自然の美しさになかなか気づかないことが多い。大事な宝として地元の海を見つめ直す機会にしてほしい」と多くの来場を呼び掛けている。

 開館時間は午前9時~午後6時まで。観覧料は無料となっている。