「急傾斜地崩壊対策事業」の概要と進捗状況を説明する職員ら=大和村大和浜=
生態系保全意識した施工も
県大島支庁
県大島支庁は21日、奄美市、大和村と合同で2021年度県下一斉防災点検を実施した。災害発生の未然防止を図り、災害発生時の避難誘導点検を行うことが目的。今年度は奄美市名瀬安勝町と大和村大和浜で行い、関係者や自治体職員など約30人が参加した。
参加したのは大島支庁の印南百合子支庁長や同庁職員、奄美市職員、大和村職員、大島地区消防組合職員、議会議員など。
大和浜の「急傾斜地崩壊対策事業」は2008年、同地区で崖崩れによって危険が生じたため、10年から施工が開始された。事業費は6億2千万円で、人家5戸と県道の保全を目的にのり面工事を実施。支庁職員が概要と進捗状況をパネルで解説し、「外来種の植物が混ざらないよう、種子の吹付は行わず、自然に奄美の植物が生えるようにした」と奄美の生態系への配慮を示した。年度内に完了予定。
安勝町の「急傾斜地崩壊対策事業」は10年に斜面の小規模崩壊があったため、12年から施工が開始された。事業費は6億円。保全対象は人家26戸と市道。
両地区では参加者から、緑化にかかる時間やのり面工事の詳細など、多くの質問が飛び交った。
印南支庁長は「市町村や関係機関、住民の方々と連携して防災対策に取り組めている」と感謝を述べ、「今回はハードについて紹介したが、ハードだけではなく一人一人の意識が大切。今は梅雨で降雨量が多く、これからは台風の季節に入る。気を引き締めて、県民の命と財産を守っていきたい」と話した。