2年後「徳之島コーヒーブランド」発進へ

「徳之島コーヒー」実証農場を視察した味の素AGF㈱の竹内秀樹社長(中央)。実の収穫体験も=2日、伊仙町面縄

味の素AGF、竹内社長
生産者会と交流、農場視察

 【徳之島】国産「ジャパニーズコーヒー」の商品開発を目指し、2017年から「徳之島コーヒー生産支援プロジェクト(PJ)」を進めている味の素AGF㈱(本社・東京都渋谷区)。竹内秀樹代表取締役社長(60)と総合商社・丸紅㈱の関係者が2日、生産者会員と交流しながら現地実証農場などを視察。同社長は「23年にはまず1㌧ベースで徳之島コーヒーブランドを全国に」と当面の目標を示した。

 徳之島コーヒー生産支援PJ事業は17年6月、味の素AGF・丸紅・伊仙町・徳之島コーヒー生産者会(吉玉誠一会長・現会員数約30人、栽培面積約4㌶)の4者調印でスタート。AGF側は、同年11月には育苗ハウス(同町伊仙)を設置して播(は)種を生産者会に委託。丸紅側は、台風被害を緩和できる低木種など適性品種を世界中から選抜するなど種苗供給面でバックアップを続ける。

 18年4月には同社の第1実証農場(約10㌃、伊仙町面縄)を設置して苗木約200本を定植。実証農場だけの規模は10月末に徳之島高校総合学科生徒たちも授業の一環で植え付け体験した第3同(同町阿三)を含む3か所を合わせて約42㌃(植栽本数約1400本)となっている。

 AGFは若手社員らを年3回、自社の実証農場や生産者会員たちのコーヒー園に研修派遣していたが、その後の新型コロナウイルスの影響で約2年前から中断。今年6月に就任した竹内社長も副社長当時以来約1年半ぶりの来島に。

 一行は、丸紅㈱食料第一本部の梶原和幸副本部長らとともに、生産者会のメンバーとふれあいながら育苗ハウスやコーヒー皮むき機(パルパー)など加工場、実証農場の順に視察した。

 竹内社長は会見で「一過性でなくサトウキビに次ぐ農業の柱・産業にと希望している。国産コーヒーで日本中が元気になる話題作りもあり、支援」。また「互いに試行錯誤。たぶん生産者の方々にも期待と不安はあると思う。23年を節目にまずは1㌧ベースをわれわれ(AGF)の商品『徳之島コーヒー』ブランドとして全国に示したい」と当面の目標にふれた。

 ちなみに昨年は64㌔を初収穫し、焙煎した「徳之島コーヒー」を社員に配布したが「意外にもクリアな味でおいしかった、と驚きの声が。全員が太鼓判押してくれた」。あらためて「メーカーのエゴではなくて、地域の産業に育てたい。前社長(品田英明氏)からのリレーで熱い思いは変わらず、(逆に)磨きが掛ったのかも知れない」と笑った。

 生産者会の吉玉会長(76)は「私たち生産者会でできることは知れている。大企業・AGFさんの力を借りないとどうしようもない。今後も長い目で見ていただき、徳之島のコーヒーを育てるプロジェクトを継続して欲しい」と願った。