26年まで5年間、土地取引できず

免許失効し土地取引を行っていたことなどを謝罪する安田理事長ら開発公社関係者

奄美市開発公社 更新手続き忘れ5年半、「無免許営業」
マリンタウン事業は市へ

 奄美市開発公社(理事長・安田壮平市長)は24日、同公社の宅地建物取引事業者の免許が2016年7月で失効していたことを明らかにした。免許失効後、昨年10月までに名瀬港本港地区埋立地(マリンタウン地区)の土地取引など7件の取引を行ったことが、宅地建物取引業法違反となり、新たな免許取得が5年間できなくなる事態となった。このため、同公社が土地の分譲を進めているマリンタウン地区のうち、既に契約が成立した区画を除く13区画約2万7000平方㍍の土地について、奄美市に無償で寄付し、同市が同公社に代わって土地の分譲などの事業を進めることにしている。同公社は、「マリンタウン地区の土地取引への影響や損害が生じることはない」としている。

 安田理事長(市長)や顧問弁護士らが同日、奄美市役所で会見、免許失効に至った経緯などを説明、安田理事長は「関係者に迷惑をかけることになりおわびしたい。管理体制の見直しを図り、再発防止に努めたい」などと謝罪した。

 同公社によると、昨年11月の市長選の結果を受け、同公社理事長交代にともなう変更手続きを準備する中で、免許更新手続きが行われていないことが判明したという。その後、新たに免許取得を行おうとしたが、失効期間中に「無免許状態」で、土地取引を行ったことが、不正取引にあたる可能性があることから、同公社として5年間、免許取得できなくなった。

 宅地建物取引事業者の免許は5年ごとの更新が必要で、同公社が最後に手続きを行ったのは11年7月。その後、同公社では、12年3月の土地取引以降、更新期限を迎える16年7月まで取引がなく、職員による事務引き継ぎなどが不十分だったことから、新たな更新手続きが行われていなかった。

 同公社は少なくとも26年10月まで宅地建物取引事業者の免許取得ができないため、今後は土地取引にかかわらない、市公共施設の指定管理業務などを行うことになる。

 免許失効後に同公社が土地取引にかかわったのは7件で、土地面積は計1万3275平方㍍。うち4件(3事業者)がマリンタウン地区における土地取引だった。

 同公社が開発、分譲を行っているマリンタウン地区では現在、造成地の分譲や民間企業による建設などが進められている。昨年2月には、業務用施設用地12区画と住宅用地1区画について2次公募を開始。分譲に向けた取引が続けられている。同公社が土地取引できなくなったため、同市が土地の寄付を受け、業務を引き継ぎ、土地開発にかかる負債は保証人である市が返済。土地売買に関して、民間事業者に損害がでることはなく、今後の土地分譲に向けたスケジュールにも大きな影響はないという。

 安田理事長は「すでに取引が完了した土地については、契約が成立しており問題ないと考えている。現在、分譲手続きが進められている土地についても、事業者に迷惑が掛からないよう、市に業務をしっかりと引き継ぐ」などと述べた。