原油高騰により燃油・肥料コストが高騰しているが、農産物の販売価格にコスト負担増を転嫁できない状況にある。そこで県は影響を受けている農業者に対し、経費削減につながる省エネ機器などの導入を支援しているほか、化学肥料の低減による生産コストの軽減も図っている。
国のコロナ臨時交付金などを活用し、県の今年度6月補正予算に支援事業として計上している。
燃油等高騰対策機械導入緊急支援事業は、原油価格高騰の影響を受け、燃料費および肥料費が増加し経営に影響を受けている農業者に対し、経費削減につながる省エネ機器、機械の導入を緊急的に支援するもの。JAなど農業者の組織する団体、農業法人などが事業実施主体となる。
事業内容は、▽燃油の使用量削減につながる省エネ機器・機械の導入支援(施設園芸における省エネ機器導入など国庫補助事業の対象とならない場合に限定)▽化学肥料の使用量削減につながる二段局所施肥に必要な機器・機械の導入を支援(国庫補助事業の対象以外)。負担割合は2分の1以内で、1事業実施主体あたり補助金額の上限は1千万円。
国内で使用されている化学肥料原料はほとんどが輸入に頼っており、国際情勢などの影響を受けやすい。補正予算に計上した化学肥料低減化推進事業は、土壌分析に基づく適切・効果的な施肥により、肥料にかかわるコストを削減させるとともに、化学肥料だけに頼らず堆肥などを活用した健全な土づくりの推進で環境にやさしい栽培技術への転換を図るもの。堆肥分析に基づく施用指針を作成し、堆肥の増施による化学肥料の削減を図るとともに、化学肥料に替わる新たな施肥法を研究、化学肥料のコスト削減に向けた施肥体系を確立する。
事業主体は県で、▽土壌診断に基づく、化学肥料の使用量削減に向けて、高速で診断できる機器の整備(高速土壌診断機器整備)▽良質堆肥の生産支援に向けた機器の整備や施肥法の開発(堆肥分析機器整備、新たな化学肥料代替資材の施肥法開発)―という内容。
畜産関係では、配合飼料価格高騰対策緊急支援事業がある。配合飼料価格安定制度における生産者積立金の助成を行い、畜産経営に及ぼす影響を緩和するもの。同制度における生産者積立金の一部について支援する。