水土里サークル活動リーダー研修会

水土里サークル活動リーダー研修会では、活動組織による事例発表も行われた

後継者育成、若い世代参加課題
38組織活動 協定面積2519㌶、交付金6200万円

 参加者が一堂に会しての対面開催は3年ぶりとなる奄美大島・喜界島水土里=みどり=サークル活動の2022年度リーダー研修会が29日、奄美市名瀬の奄美観光ホテルであった。活動組織事例発表では遊休農用地発生防止のための保全管理、農道・農業用施設の維持管理活動などを報告するとともに、後継者育成や若い世代の活動参加が課題として挙がった。

 県は農業・農村の多面的機能の維持・発揮と地域の共同活動を支援する施策として、鹿児島県独自の愛称である「水土里サークル」活動を進めている。活動を支えているのが、国が交付している多面的機能支援交付金。奄美大島・喜界島で活動に取り組む組織は、07年度26組織からスタートし現在は38組織に増加。21年度には協定面積(活動面積)2519㌶に対し約6200万円が国から交付された。

 関係行政機関の担当者を含めて約60人が参加した研修会では、活動組織を代表し奄美市住用町の市=いち=集落環境支援隊(発表者・山下哲次さん)、瀬戸内町の嘉鉄の畑と水と緑を守り隊(同・重村満久さん)が事例発表。町の営農支援センターがあり、同町農業の中核となっている嘉鉄集落の同隊発表では、保全管理のための活動のほか、接近した台風通過後、集落内や農道などの見回りを13年間続けていることを紹介。農業従事者の増、ビニールハウス施設でのパッションフルーツ栽培などの増により水不足が発生、水の確保が難しくなっている現状を挙げ、新たに沢から水を引き込む事業を予定しているとした。

 嘉鉄集落でも後継者育成が課題の中、農業に従事するIターン者が増えているとして重村さんは「うまく協力しながら活動への参加を呼び掛けたい」と発表。また、集落外居住の耕作者もおり、保全活動への直接的な参加を働きかけたいとした。

 先進地事例を紹介する講演もあり、日置市にある水土里サークル「中川ふるさと保全会」の活動内容を元副会長・比良精一さんが「むらを守る」との題で報告。取り組みの特徴として①農業者も非農業者も地域保全のために活動②組織体制(委員は自治会組織、農業生産組織、地区外委員、会員年代別代表で構成)③ふるさと探検隊(暮らす場所、働く場所を点検)④研修(組織内・組織外で)⑤幼稚園・小学校との連携⑥景観形成と生態系保全―などを挙げ、こうした活動による成果として「自治会や育成会を巻き込んだ組織体制で活動を定着させた」と指摘した。