外来種「ポトス」国立公園内に大繁茂

幅広い世代の約70人が参加した喜念浜海岸の「ポトス」駆除作業(徳之島虹の会提供)=19日、伊仙町

モクマオウに絡みつき繁茂したポトスに悪戦苦闘

駆除ボランティアに70人
伊仙町喜念浜海岸

 【徳之島】未来へつなごう鹿児島の生物多様性推進事業「喜念浜(きねんばま)ポトス駆除大作戦」(県主催)が19日午前、伊仙町喜念浜であった。町内外から自主参加したボランティアたちが奄美群島国立公園(第二種特別地域)の喜念浜海岸に侵入・繁茂した県指定外来種の一つ「ポトス」(オウゴンカズラ、サトイモ科)の駆除作業に挑み、汗を流した。

 「ポトス」は鉢植えなど観賞植物でおなじみの園芸品種。だが、国立公園エリアで〝奄美十景〟の一つ喜念浜海岸のモクマオウ林への侵入が指摘されてきた。かつて「防潮林」目的に移入植栽されたモクマオウ樹林に、園芸種のせん定くずの投棄が原因とみられるポトスが繁茂。多様性に富んだ本来の自然景観かと錯覚させるが、アダンなどの在来種を押しのけて、人為的要因による外来種同士の絡み合いを垣間見せている。

 午前9時からあった駆除作戦には町内外から家族連れの幼児や小学生から高齢者まで約70人が参加。作業に先立ち県自然保護課の担当者が、ポトスや徳之島へ侵入・定着した「シロアゴガエル」(環境省指定特定外来生物)など外来種問題についても解説した。

 この後、喜念浜の遊歩道を覆ったポトスのつるを人海戦術で引き抜く作業を約1時間半続けた。モクマオウ樹で巨大化したものは鎌などで挑んだ。地元参加者たちも、アダン林の奥深く繁茂して勢力を広げていたポトスの量など現状に驚いていた。悪戦苦闘しつつ排除・回収できたポトスの量は2㌧ダンプの7台分、約1・5㌧にのぼった。

 町内から参加していた松田りえ子さん(69)=認定エコツアーガイド=は「外来種の駆除作業には何度も参加しているが、喜念浜のポトスは、きょう駆除できた量の100倍はまだ残っていると思う。作業は繰り返し継続する必要がある。しかし、ボランティア頼みの作業では厳しいと感じた」と話した。