徳之島高で 減災教育プログラム事業

協働による避難所設置・運営・救護などのシミュレーションで減災意識を高めた=5日、徳之島高校

「災害は自分のこと」捉えながら防災意識
避難所開設・運営シミュレーション

 【徳之島】県立徳之島高校(上田勇一校長)の1年生82人を対象にした全国「アクサ×ユネスコ協会減災教育プログラム事業」の避難所開設・運営シミュレーションが5日、同校武道館であった。学校施設が避難所指定され、高校生らによる設置・運営への協働も期待される中、「災害は自分のこと」と捉えながら減災意識を高め合った。

 減災教育プログラムは、東日本大震災など災害経験上の教訓や学びを生かして防災・減災教育に取り組む小・中・高校などへの助成活動・研修事業。今年度は論文審査で全国30校、うち県内からは徳之島高と徳之島町立亀徳小の2校が対象となった。各校職員代表が9月に宮城県気仙沼市で3日間あった講師育成研修会に参加した。

 徳之島高の本田誠教頭(51)は応募論文で、生徒たちは「未災地で育った故の危機意識の薄さや〝他人事感〟があると思う。台風や高波の影響で頻繁に物資が底をつくことへの耐性や乗り切る自信を日常的に身に付けたことが逆に、被災に対する緊張感のなさにつながっていないか」と指摘。「卒業して島を離れ、見知らぬ土地に進学しても自分の身は自分で守る行動、災害を自分の問題だと捉えさせる変容が必要」と提起している。

 講師を務めた本田教頭は避難所開設・運営シミュレーションの冒頭でも「災害を自分のことと思って対処を」と強調。生徒らは卒業式前日の東日本大震災で卒業生57人のうち3人が犠牲となってしまった気仙沼市立中の涙の卒業式の模様を動画で視聴した。

 この後、生徒間で話し合って意思決定して協働するロールプレイング形式でシミュレーションに挑戦。避難所に来た「乳児と母親」「高齢者夫婦」「車いす使用者と家族」などをそれぞれ想定した避難所用簡易テントやベッドの設営と配置、毛布を使った負傷者の救護・搬送なども真剣に学んだ。

 生徒会長の森太陽さんは「学校が避難所に使われる際のテント設営の仕方、要介護者の方々に配慮した配置とかの知識も学べた。もしも被災地になってしまった場合は、この経験を生かして高校生らしく俊敏に動き、地域の皆さんに恩返しをしたい」と話した。