徳之島で初「徒歩行進訓練」30㌔

徳之島「徒歩行進訓練」約30㌔を完遂した陸自奄美警備隊員ら=20日午前11時頃、徳之島町金見で

自衛官OBら隊友会員たちの激励、笑顔の交流も

陸自・奄美警備隊員ら
防災支援移管で

 【徳之島】陸上自衛隊奄美駐屯地と瀬戸内分屯地は、大規模災害発生時などの救援物資輸送能力の向上を目的に20日、天城町防災センターを発着点に、徳之島で初の「徒歩行進訓練」を展開した。一転した夏日の下、奄美警備隊普通科中隊の14隊員が、飲料水や非常食など約20㌔ずつを背に同島北部約30㌔を踏破した。

 開設5周年を迎えた陸自同駐屯及び分屯地。両隊員で構成の奄美警備隊には4月から、それまで陸自・国分駐屯地が担ってきた南3島(徳之島・沖永良部島・与論島)の防災対応も移管され即応力を高めた。今回は、同移管にも伴う「第37回トライアスロンIN徳之島大会」(23日開催)の運営支援が主任務(約25人派遣)。徒歩行進訓練は、初来島を機に「災害派遣時の地形偵察、物資輸送の習熟」なども兼ねて初めて計画(広報幹部)した。

 午前7時、隊員らは1列縦隊で天城町防災センター(同町天城)を出発した。コースは、シドニー五輪女子マラソン金の高橋尚子さんも合宿で汗を流した同島北部の「尚子ロード」(県道)。反時計回りでテクテクと歩を進め、安全確認や救護要員6隊員が車両4台で同行した。

 ほぼ中間地点の徳之島町金見では、自衛官OB組織の県隊友会徳之島支部の平田英助支部長(69)ら5人がノボリ旗を掲げて出迎え、スポーツ飲料を差し入れて励ますなど後輩たちを喜ばせた。そして、出発から約10時間後の午後5時頃、全員が無事踏破した。

 徒歩行進を率いた同隊第2小隊長の黒木啓介3等陸尉(42)は「道路は整備されて歩きやすかったが、起伏に富み、自然が豊か。歩行訓練は日頃頻繁にやっているが、健康と体調管理で災害派遣に備えたい」

 側面支援隊の中には徳之島町亀津出身、前田章吾2等陸曹(33)=瀬戸内分屯地・司令業務陸曹=の姿も。「幼い頃に阪神淡路大震災への災害派遣の様子をテレビで見て入隊を決意していた。より地元に近い所にと瀬戸内を希望して勤務5年。訓練の形でも恩返しができて良かった」と話していた。

 23日午前8時に天城町ヨナマビーチで号砲となるトライアスロンIN徳之島大会。一行は同スイム会場の安全警備、バイクやラン最後尾での救護、ゴール(同町総合運動公園)では「足湯」コーナーも提供して鉄人らを癒す予定だ。