帰省客たちの姿も目立った「送り盆」の光景=15日夕、徳之島町亀津北区
徳之島町亀津地区
一族郎党の無常息災も祈願
【徳之島】月遅れ盆最終日の15日夕、徳之島町亀津北区の共同墓地では、住民や盆帰省客たちが先祖の霊を導きながら次々と墓参。手作りの料理や神酒(みき)を墓前に供え、一族郎党の無病息災も祈願するなど「送り盆」の光景が広がった。
徳之島地区は盆休暇・帰省客らにも配慮して月遅れ盆に統一。台風の影響で物流の混乱が長期化し農作物が滞貨、店頭からは食材を中心に盆用品も品薄となるなど離島の悲哀を感じさせた昨夏から一転。地球熱帯化の始まりとも指摘される〝台風の関東・東北ルート化〟の異変もあり、今夏は穏やかな3日間に恵まれた。
期間中、先祖の位牌(いはい)を祭る本家筋では、それぞれ先祖など大切な故人の霊を招き、心尽くしの手料理や茶菓を供えて3日間もてなした。14日夜、徳之島なくさみ館(伊仙町)であった同島名物の闘牛大会は、迫力満点の激突で盆帰省客や観光客らを大いに魅了。夜は一部集落から盆踊りの音楽も響いた。
最終日15日は、所によっては午後にかけて一時的な雷雨に見舞われた。だが、これが逆に日中の猛暑を和らげてくれる恵み雨に。亀津北区の共同墓地エリアには午後5時過ぎ、家族連れなどが三々五々訪れた。送り盆のお供えや祈りを捧げた後、車座になって互いの無病息災も祈願。人口減少社会の中も厳かな〝不易の光景〟が広がった。