水しぶきと絶叫、パニック状のにぎわいとなった「ネンケ」行事=18日午前、徳之島町亀徳
水しぶき乱舞・絶叫パニック
【徳之島】徳之島町亀徳地区伝統の浜下(う)り行事の水かけ祭り「ネンケ」(同地区青年団主催)が18日午前、県道であった。勇壮な「軍艦マーチ」の曲とともに勢いよく冷水を浴びせ合い無病息災を祈願。逃げ惑う見物客らも交え約400人でにぎわい、水しぶきと絶叫調の歓声が交錯した。
南島古来のニライカナイ信仰に根ざした「浜下り」関連の伝統行事の一つ。古くは無病息災祈願や水難者の供養、若者の間では気心の合った異性間の意思表示にも利用されたなど口承も。数年前までは一般通行人にも無礼講の冷水の洗礼が飛んでいた。
亀徳青年団(玉利祐希団長)が牽引(けんいん)役となって継続発展。県道区間の一部通行止め協力を得て実施、一般通行人の〝巻き添え〟はなくなった。残暑を吹き飛ばす〝水かけ遊び〟の娯楽的要素を一段と強めながら継承されている。
快晴下の午前10時ちょうど、集落マイクからの「軍艦マーチ」で水かけ合戦の火ぶたが切られた。消火栓バルブ全開で仮設水槽にためた冷水をバケツや洗面器で勢いよく浴びせ合った。綱引き対抗戦では相手陣営をひるませる水攻め攻勢も。約1時間、パニック状のにぎわいに包まれた。
和歌山県から伊仙町に移住して5年目、家族3人で初参加して楽しんだ大保健司さん(37)=とくのしま伊仙まちづくり協同組合事務局長=は、「青年団の方々の活動が活発で、祭りを担う次代も育っていると思った。青年団の力強さと多世代が関わる徳之島の行事の素晴らしさを知った」と話していた。
夕方からは、住民たちが一重一瓶を手に亀徳地区振興センターに集い「浜下り」交流会でも絆を確かめ合った。