徳之島のいろは「カムィヤキの世界」で、学芸員の仕事を体験した参加者たち=28日、伊仙町
【徳之島】伊仙町歴史民俗資料館主催の体験講座「徳之島のいろは」シリーズの一つ「カムィヤキの世界~学芸員さんのお仕事を体験しよう!」が28日、同資料館横の同町農業支援センターであった。中世の琉球列島でカムィヤキ陶器生産の中心地となった同町。家族連れなど約20人が参加。同窯跡遺跡「発掘調査」報告書の作成を想定した〝いろは〟にふれた。
全島民を対象にした2024年度埋蔵文化財事業プログラム(計6種)の一つ。11~14世紀頃に同町内の大規模窯跡群遺跡の「徳之島カムィヤキ陶器窯跡」(国指定史跡)で一大生産され、北は長崎県から南は沖縄県波照間島まで広く流通したとされる「カムィヤキ」。生産技術や交易ルートなどさまざまな謎を解き明かすための鍵を握る同重要遺跡の「発掘調査」報告書の作成を想定してソフトに焦点を当てた。
講座の冒頭、同町歴民館の安田未来(みらい)学芸員が「カムィヤキってなに?」と題してその概要、報告書(調査の場所、状況、モノの色や形、数、遺跡の種類、注記)作成例などを説明。出土遺物の「接合」「拓本」「写真撮影」作業の各班に分かれてローテーションで体験した。
うち「接合」体験には市販の食器(陶磁器)を事前に砕いて充てた。参加者たちは接合作業中の実物を参考に、ジグゾーパズルにでも悪戦苦闘するかのような面持ちで、ドラフティングテープと接着剤を使って挑戦。そして復元にこぎ着けると満足そうに顔を見合わせた。
徳之島町から家族で参加した亀徳小4年生の山﨑湊太(そうた)君は「割れた陶器をくっつけるのが楽しかった。遺跡とか歴史にも興味があります」。伊仙町に赴任3年目の公務員岩本崇史さん(38)は息子(小5年)と2人で参加し「難しい接合作業を体験できて良かった。島内の遺跡など遺構も好きでたまに巡っています」と話していた。