ジェンダー平等の考えを地域に広げたいと語る重信千代乃会長(22日、奄美市役所)
男女共同参画あまみ会議(重信千代乃会長)の2025年度第32回総会が22日、奄美市役所であった。加盟する5団体、20個人会員が出席し、今年度の活動計画・予算などを決めた。ハーモニー講演として開催した研修会には、一般参加者を含む約80人が出席。「観光産業とまちづくり」と題した講演を通し、街づくりと観光を融合した「観光まちづくり」の在り方を学んだ。
同会議は、1993年に「なぜ女性団体連絡協議会」として発足。2006年に男女共同参画あまみ女性会議、08年には現在の名称に改称。同市において、性別に関係なく男女が共に活躍できる社会を目指す活動を続けている。
総会で重信会長は「市の事業計画の全てにジェンダー平等の視点が盛り込まれた。さらに人権意識を地域に広げていきたい」とあいさつ。
来賓として出席した安田壮平奄美市長は「女性に選ばれる地域を目指す。本市が目指す女性管理職30%の目標達成には、職場環境の改善が必要」などと述べた。
役員改選(25~26年度任期)では、会長・副会長・事務局長など主要役職を全て留任とし承認。新たに広報担当に奄美商工会議所女性会の里原明美さんを選んだ。
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研修会では、同市笠利町の㈱奄美群島環境文化総合研究所の小池利佳代表取締役(59)が「観光産業とまちづくり」と題し講演。
大手ゼネコンで山岳トンネル設計に従事した〝土木女子〟の小池さんは、「2000年頃は、女性が現場に入ることが、古い条例や法律で禁止されていた」と話し、現在でも女性の土木技術者が少ない原因の一つに「山の神信仰」(女性神である山の神が、山に入る女性に嫉妬(しっと)し事故を起こす)があるなどと説明した。
その後、近代化遺産観賞の趣味が高じ観光振興の仕事に転職。世界的なリゾート観光地であるハワイについて、成長期、停滞期を経て現在回復期にあると分析し、「観光地はいずれもはやりすたりがあり客数増は永続的ではない」と解説した。
奄美大島の観光については、「外国人観光客は、おにぎりを作る体験に7千円払う時代。住民や地元企業が主体となり、異文化体験を提供できれば、地域活性化を目的とした観光街づくりにつながる」と新たな観光スタイルの創出を提示した。