体験交流館指定管理

指定管理者公募で選考された結果、来年度は市の直営となることが分かった「奄美体験交流館」

「フェアじゃない」

 

市直営判断に衝撃

 

 13日に開かれた、奄美市議会12月定例会で、公共施設「奄美体験交流館」(同市住用町)の指定管理者公募に関し説明があり、来年度の管理が市の直営となることが明らかになった。一夜明け、現在指定管理者で、今回の公募に参加していた「NPO法人ASA奄美スポーツアカデミー」(園田明理事長)には、同NPOが主催する各教室の参加者や支援者から、今回の「該当者なし」との選考結果に関する問い合わせなどが相次ぐなど、関係者へ大きな衝撃を与えている。

 開会中の市議会一般質問のなかで、当局が今回の経緯について説明。それによると公募には、全部で3団体が参加。指定管理者選定委員会が11月にあり、3団体がプレゼンテーションの審査に臨んだ。

 当局は選考から「該当者なし」という結果になった経緯について、「最上位と次点の差が僅差で、提案内容も甲乙つけ難かった。(交流館の運営については)安定的運営および文化活動等自主事業の展開の均衡が重要であることから、総合的に判断し、候補者の決定に至らなかった」などと説明している。

 また、「来年度は直営とするが、双方の長所を生かした業務委託の在り方を今後検討していく」とし、質問した議員は、点数内容などが公表されたかったことも踏まえ、「指定管理者制度の選定の在り方の根幹を揺るがす事案にもなりかねない」などと指摘した。

 奄美体験交流館の指定管理を巡っては、2009年度から3期連続(1期=3年)で、同NPOが市から指定を受けて管理。また、同NPOは、同年度に総合地域スポーツクラブ「ASAコミュニティクラブ」を開設、各スポーツ教室や各種イベントなどを主催してきており、16年度は、合計約8千人(延べ人数)が参加した。

 来年度の運営が市の直営となることが報道された翌日の14日、同NPOには、午前中から電話やメールなどで、今回の結果に対する問い合わせが続いたという。

 同NPO主催の体操教室、同クラブに子どもを通わせている保護者の1人は「新聞紙面を見て驚いた。島外からスポーツ合宿を受け入れるなど、地域に限らず、広い視点での活動を見てきたので、(同NPOが)選ばれるものと思っていた。公募したうえで、市の直営というのはフェアじゃない。今後どうしていくのか、市は早い説明をしてほしい。来年の4月以降どうなるのか不安。ほかの利用者も心配しているだろう」と話した。

 奄美新聞の取材に対し、同NPOの園田理事長は「総合的な判断結果に私どもの取り組みが沿わなかったことに力不足を感じ残念だが、結果を受け止めるしかない。これまでサポートをいただいた方々や地域の皆さんとのつながりを胸に、残された委託期間をしっかり努めさせてもらう」と答えた。

 12月定例会の閉会後に、市と今後に向けた協議が行われるという。