環境文化にフォーカス

中央に大型船クバヤの模型を配し奄美産木材を活用した机といすなども用意される1階展示室のリニューアル後のイメージ図(提供写真)

展示リニューアル ガイダンス機能も強化
奄美博物館

 奄美市教育委員会は7月のオープンに向け、同市名瀬長浜町の市立奄美博物館の展示リニューアル事業を行っている。展示内容は開館以来30年以上の調査研究成果を盛りこみ、環境文化に焦点をあてたものに拡充される。また同館保管の『南島雑話』に関する資料や、国史跡の小湊フワガネク遺跡の出土遺物などの展示を充実させガイダンス機能も強化されるという。

 市教委文化財課によると、同館の展示リニューアル事業は2018年度の繰越事業で実施。全体事業費が1億500万円。内訳は奄振交付金6500万円(国庫支出金5千万円、県支出金1千万円)と過疎対策事業債が4500万円となっている。

 同館は奄美群島の総合博物館として、1987年7月に開館。奄美の自然・歴史・文化を理解するための調査研究、収集保存、展示公開、教育普及の活動を継続する拠点施設として多くの住民や研究者などに利用されてきた。

 同館の1~3階展示室を対象に収蔵資料を活用して、人の暮らしと自然との関わりである「環境文化」に焦点をあてた展示へリニューアル。また市指定文化財の『南島雑話』の絵図をそれぞれの展示室で取り上げて、環境文化の概念を分かりやすく表現できるものにする。

 各階展示室は体験型展示装置や「シマグチ辞典」(タッチパネルモニター)、「生きもの図鑑」(検索用パソコン)、デジタル『南島雑話』などを設置。調査研究の進展に合わせ担当職員が情報交換して、常に新しい情報が利用者に提供されるという。

 1~2階の採光型壁面も改良し、ガラス面の外部に遮光・遮熱・紫外線カットするガラスフィルムを施工。フィルムには奄美群島のシルエットなどを印刷して、リニューアルを建物全体で広くアピール。同館学芸員の山下和さんは、「この改良で、今まで展示できなかった古文書資料が実物展示できる。リニューアルオープンしたら、多数に来ていただきたい」と話した。

 同館のリニューアルオープンは、7月20日予定。