大和村スモモ

大和村の特産果樹の一つスモモの今期の着果状態は量の少なさが際立ち、記録的な不作となりそうだ

記録的不作可能性も
出荷申込5㌧どまり 台風で落葉、暖冬も響く

 初夏の味覚「奄美プラム」の産地として知られる大和村だが、今期の着果状態は量が少なく色づきも遅れており、記録的不作となる可能性がある。村役場が窓口となっている選果場利用の出荷申込(JA共販)は21日現在で約5㌧にとどまる。出荷量が10㌧台に届くか危惧されており、生果用の大玉だけでなく加工用の確保も厳しい見通しだ。

 村産業振興課によると、大和浜集落や大棚集落を中心に約130戸が栽培に取り組んでおり、面積は277㌶。村助成のもと苗木の植え付けで老木樹の更新により面積は維持されている。

 今期の出荷に向けてJAあまみ大島事業本部は27日に出荷協議会を計画(午前中大和村、午後に奄美市名瀬地区と龍郷町)。6月1日から湯湾釜集落にある選果場への持ち込みを受け付け、目ぞろえ会も同時に行い出荷を開始する。

 出荷まで目前だが、着果状態は「非常に厳しい。虫食い被害の果実を除き摘果もできないような状態で、収獲できる量が例年になく少ない」(村産業振興課)。前期はJA全体で約50㌧の取り扱いがあり、村の選果場利用でも47㌧あった。今期は現在のところ前期量の10分の1程度の申し込みしかない。出荷申込農家のなかには収穫量の見通しが立たないため、「ゼロ」との記入もある。販売面で差別化が図られる「かごしま農林水産物認証制度(K―GAP)」を今年も取得しようと、同課は申込作業を進めているが、取得を80人希望し量は12㌧見込んでいるものの、この量の確保も微妙な情勢だ。

 不作の要因について同課は、▽昨年の台風24、25号被害で葉が落ち、それにより11月には花が咲きだすなど落葉、開花が大幅に前倒しとなったことでストレスによる樹勢の低下▽暖冬で気温の低下の遅れ―などを挙げる。着果量を左右する花期は2月だが、その時期の開花も花の付きが悪くつぶれたような花もあったほか、3月ごろまでだらだらと開花が続いたという。その後の着果も量の少なさとともに色づきの遅れ、玉伸びも不調だ。

 県大島支庁農政普及課がまとめたスモモの生産量推移をみると、2014年度149㌧、15年度94㌧、16年度102㌧。最近まで100㌧台が確保されていた。