伝統守り、カヤ葺き替え

2年ぶりとなる高倉屋根のカヤの葺き替えが進む大和村大和浜の群倉

高倉の屋根、2年ぶり 技術継承へ
大和村大和浜の「群倉」

 大和村大和浜の県文化財指定の「群倉=ぼれぐら=」で、2年ぶりとなる高倉屋根のカヤの葺き替えが進んでいる。職人らは伝統を守る手作業で、6月中の完了を目指して急ピッチで作業。村内後継者を目指す名音在住の上村高矢さん(63)も「群倉は村が誇る文化の一つ。村内の人間が継承できるよう頑張りたい」と汗を流している。

 高倉は主に穀類を貯蔵する倉庫で、南方と交流が盛んだった室町時代に南洋から琉球を経て伝わったとされる建造物。村教育委員会によると、同群倉内には5棟の高倉があり、明治中~後期ごろに製造。2004年に県文化財建造物に指定された。

 改修工事は、カヤ葺き替えに詳しい中村工務店(龍郷町大勝)が担当。同・中村博志代表によると、近年は材料となるマカヤやススキの自生地も減少。材料の確保が難しく、年に改修できる棟数も限られているという。

 改修は最も経年劣化の激しい一番奥の1棟を対象に、5月15日から工事を開始。これまでに古いカヤが取り除かれ、18日には屋根の内側を覆うマカヤ、ススキが順に運ばれ、耐久性を増す大和村独自の素材・リュウキュウチクも次々とその外側に並べられた。

 技術継承を目指して今回で3回目の参加だという上村さんも、職人に手順を教わりながら炎天下で懸命に作業。「締め方や結び方などはまだまだ難しい」と話しながらも、「本当はもっと若い人がやるべきだが、村内の人間が技術を知り守ることに意味がある」と汗を流した。

 中村代表は「今後も若手による技術継承や材料の確保は大きな課題」と話しながらも、「群倉は奄美を代表する観光資源でもある。美しく丁寧に仕上げたい」と笑顔で話した。

 なお、費用は県の補助事業を活用し、県と村が5割ずつ負担する。