奄美大島と喜界島で記録的大雨

大量に雨水が流れ込み、冠水した大和村の思勝集落(5日、午後3時10分頃)

名瀬で降り始めから600㍉超え、冠水、がけ崩れなど発生

強い台風5号が接近した影響で5日、喜界島と奄美大島では「50年に1度」の雨が降り、奄美市(笠利町、名瀬)、瀬戸内町では1時間に120㍉以上の記録的な大雨が観測された。降り始めからの雨量は名瀬で600㍉以上、笠利、古仁屋、喜界島の3カ所でも400㍉を超える大雨となった。この雨の影響で道路の冠水やがけ崩れが発生。気象庁は奄美地方北部市町村に土砂災害警戒情報を発令し、災害への注意を呼び掛けた。

5日午後6時現在で、同日の1時間あたりの降水量最大値は▽名瀬92・0㍉(午後1時29分まで)▽笠利町91・0㍉(同4時46分まで)▽古仁屋87・5㍉(午前8時12分まで)▽喜界島64・5㍉(午後4時32分まで)。笠利町では観測史上最大、そのほかの観測地点でも8月の観測史上最大となった。このほか観測地点になっていない地点で1時間に120㍉を超える雨が降った。24時間あたりでは、名瀬で540㍉(午後3時40分まで)を観測したほか、笠利町397・0㍉(同4時50分まで)、喜界島366㍉(同5時10分まで)で、観測史上最大となった。

名瀬測候所は同日午後6時までに、奄美地方に記録的短時間大雨情報を6回発令。同測候所によると、一般的に台風は中心付近よりもその周辺で雨雲が発達しやすい。特に今回の台風は暖かい空気の影響を受け、台風の南側に発達した雨雲が集中。これにより奄美地方北部に猛烈な雨をもたらしたという。同測候所担当者は「まだしばらくは強い雨が降る可能性がある。また、大雨により地盤がゆるんでいるところが多いため、土砂災害の発生に警戒が必要」と呼びかけた。

鹿児島地方気象台によると、6日の奄美地方は、午前中雨、午後から曇り。所により昼前から雷を伴い非常に強く降る所もある見込み。

この大雨により5日午後6時現在で、龍郷町で1件、瀬戸内町で9件の床上浸水が発生。瀬戸内町では18件の床下浸水も発生した。また、がけ崩れや道路の冠水で通行止めおよび、片側通行規制が発生した。同日同時現在で、通行止めとなっている主要な道路は次の通り。

【奄美市住用町】▽国道58号線=西仲間
【奄美市笠利町】県道佐仁赤木名線=川上▽県道佐仁番屋赤木名線=宇宿、佐仁
【大和村】▽県道名瀬瀬戸内線=大金久▽
【瀬戸内町】▽県道安脚場実久線=押角、生間、渡連、実久