三京川の生物観察会

河川生物を捕獲・調査して大自然にふれた子供たち=8日午前、天城町「三京川」

アメリカザリガニ丸く切り抜き
侵略的外来種ワースト100「アメリカザリガニ」の姿も

天城町の西阿木名小・中学校 「豊かな自然守りたい」

 

外来種ザリガニの侵入も

 

 【徳之島】天城町教育委員会主催の「三京川での生きもの観察会」が8日、同町立西阿木名小・中学校と同小三京分校の児童生徒23人を対象にあった。子どもたちは専門家らの協力で身近な清流にすむ絶滅危惧種など希少生物を捕獲し、歓声をこだまさせながら、ふるさとの自然の豊かさを再認識した。

 同観察会は九州農政局徳之島用水農業水利事業所の主催で6年前に開始。1997(平成9)年度に事業着手した国営徳之島用水事業(徳之島ダム建設)の完了に伴い、今年度からは町教委主催に移行。三京分校沿いを流れる「三京川」への定置網やかご網設置による生物の捕獲には、98年度から同用水事業の環境調査を担ってきたアジア航測㈱の調査・研究員たちが今年も協力した。

 児童生徒たちは三京分校での開会式と説明会で、同河川に生息する「キバラヨシノボリ」や「ルリボウズハゼ」(ハゼ科)など絶滅危惧種、テナガエビ類などについて学習。下流に建設された奄美群島最大の同ダム(有効貯水量730万㌧)には早くも外来種の魚「ティラピア(イズミダイ)」が侵入・繁殖していることも知った。

 同水系の代表種は環境省と県指定の絶滅危惧種2種類(キバラヨシノボリ、ルリボウズハゼ)を含め計15種が知られる。子どもたちは専門家の指導で玉網を使った水中の生物の捕獲にも挑戦。前日に仕掛けた定置網などに入っていた計7種・約120匹)を観察。全長約60㌢の「オオウナギ」の〝サプライズ〟には黄色い歓声に包まれた。三京分校の嶺山結=ゆい=さん(6年生)と三島優結さん(1年生)は「魚がたくさんいたのでもっと名前を知りたい。近くにこんな川があってうれしい。大切にしたい」と話した。

 同日の捕獲生物の中には日本の侵略的外来種ワースト100[徳之島支局21]にも指定されている「アメリカザリガニ」も1匹。はさみをかざして威嚇する姿に、地元の自然保護担当者らは「川の中の何でも食い尽くす一番のやっかい者だ」と深刻な表情。抱卵したテナガエビ類については、ダムの下流域に移動して放流した。