奄美・沖縄12市町村長が連携

12市町村の首長と関連行政機関が参加した地域連絡会議

 

 

維持管理に向け決意新た
世界自然遺産地域連絡会議

 

 2021年度「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島世界自然遺産候補地地域連絡会議」(事務局:環境省、林野庁、鹿児島県、沖縄県)が30日、新型コロナウイルス感染症対策のため、完全オンラインで開催された。
4島の12市町村長や担当部署、関係行政機関など約60人が参加。観光管理や絶滅危惧種のロードキル(交通事故死)対策など、登録に伴う世界遺産委員会からの四つの要請事項(宿題)の対応方針などについて共有し、世界自然遺産の維持管理に向けて決意を新たにした。

 世界遺産委員会からの四つの宿題に対しては、地域連絡会議の下に要請事項対応タスクフォース(特別対応チーム)を設置。科学委員会の助言を受けながら、①観光管理計画(特に西表島)=沖縄県②絶滅危惧種のロードキル対策=環境省③包括的な河川再生戦略=同④緩衝地帯の森林管理=鹿児島県―で対応策を検討・実施し、来年7月までにレポートを作成、12月に世界遺産委員会に提出することで承認された。大宜味村の宮城功光村長から「沖縄島北部はダムが多く下流への水量が少なく、河川閉塞も課題。調査してほしい。森林については無電柱化も検討してほしい」との要望が上がり、事務局からは「状況を見ながら検討していく」との回答があった。

 その後、12市町村長から、現状と今後に向けての抱負が語られ、観光管理やロードキル対策に関するものが多かった。奄美大島からは「ロードキル防止のネットや減速帯設置を検討中」「湯湾岳など適正なルールづくりをしていく」「入込客分散化のため、森以外に海も観光資源としていく」など。徳之島からは「解決方法を住民と一体になって考える場を設けたい」「子どもの環境教育やエコツアーガイドの人材育成に力を入れたい」など。沖縄島北部(やんばる地域)からは「人材や予算体制が重要」「盗掘・盗採が多く、夜間の林道閉鎖を行っている」「ノグチゲラを村の鳥として指定、保護強化している」など。竹富町は「西表島の車をすべて、特にレンタカーを電気自動車に切り替えていきたい」「大事な遺産を守るために、強力な法律が必要」とした。事務局は「今まで以上に連携し、着実に実行に移していきたい」と話した。