奄美大島の医療体制ひっ迫の危機

新型コロナの爆発的拡大を受け開催された奄美大島新型コロナウイルス感染症対策会議の作業部会(奄美市提供)

新型コロナ爆発的拡大
奄美大島5市町村対策会議
受診前に「まず電話相談を」

奄美大島5市町村による新型コロナウイルス感染症対策本部会議の作業部会が28日夜、奄美市役所で行われ、7月に入り島内で爆発的に増加している新型コロナ感染対策について協議した。感染者の急増に伴い、島内の医療機関では、医療体制がひっ迫しつつあるとし、適切な受診体制を維持するため、発熱などの症状が出た場合、「受診する前に、かかりつけ医などに電話で相談、できるだけ夜間診療などは避け、平日の診療時間内に受診するよう」呼び掛けることなどを確認した。

同会議には、4町村の担当者らがリモート参加したほか、相星壮吾名瀬保健所長や県立大島病院の森田喜紀総合内科部長、大島郡医師会の稲源一郎会長などもオブザーバーとして参加。島内の感染状況などの報告を受け、感染対策などについて協議した。

現在、島内で感染が拡大しているのは、「BA・5」と呼ばれる変異株とみられ、重症化リスクは低いものの、高い感染力のため、急激に感染が拡大している。島内の医療機関では、受診・検査に訪れる人が後を絶たず、発熱外来受診や新型コロナを含めた入院患者の調整にも影響が出始めている。

相星保健所長は「爆発的に感染が広がっていて、これまでに経験したことのない大きな波となっている」と指摘。同保健所管内の感染者数が連日、100人を超える現状に危機感を示している。

同保健所によると、同島では28日現在、島内の新型コロナ対応の病床数32床を上回る45人が入院。県立大島病院などでは、コロナ以外の一般病棟の一部も使用しているという。このため、一般外来や救命救急などの受け入れにも影響が出始めており、救急車の受け入れを一時ストップする事態も起きているという。

こうした現状から、対策会議では、医療が必要な人が適切に受診できる体制維持を図るため、「発熱や咳、のどの痛みなどがある場合は、直接医療機関を受診する前に、まず電話でかかりつけ医などに相談、指示に従ってほしい」と呼び掛けている。

また、検査などのため夜間診療に訪れる人も増えていることから「症状が軽い場合は、できるだけ昼間の診療時間内に受診してもらいたい」としている。

対策会議の協議を受け、相星保健所長は「感染者が増えると、重症化する割合も多くなっていく。社会活動が制限される状況をつくらないためにも、基本的な感染対策をしっかり行うよう心掛けてほしい」と呼び掛けている。

奄美大島の新型コロナ対応などに関する問い合わせは、受診・相談センター(名瀬保健所)電話0997―52―5411へ。