奄美・三献の価値理解

ステージでは西郷と愛加那の祝言が再現された

この日会食した三献メニュー

西郷・愛加那残した伝統学ぶ
食育文化プロジェクト

 NPO法人奄美食育食文化プロジェクト(久留ひろみ理事長)は17日、「第1回奄美食の文化祭『三献』―西郷隆盛・愛加那の三献による祝言―」を奄美市名瀬の奄美観光ホテルで開催した。同イベントは、講演や会食を通して奄美の伝統儀式である「三献」を再度見つめ直し、再認識を図るもの。参加者135人は、日本料理の奥深さと西郷・愛加那の残した伝統に学び、奄美・三献の尊い価値に理解を深めた。

 同イベントは、二部構成で行われ、第一部が、鹿児島女子短期大学名誉教授・福司山エツ子氏を招き「日本料理における三献」をテーマに講演。第二部では、西郷と愛加那の祝言が書かれた文献をもとに当時の儀式をステージで再現しながら、三献の会食を行った。

 第一部では、▽日本料理(和食文化)の特徴▽献立構成(形式)▽家庭料理▽食事と健康―などの内容で福司山氏が講話。福司山氏は、日本の料理は江戸時代に完成したとして、三献の基にもなった饗応・宮中料理である「本膳料理」を起点にその形式・魅力などを展開した。

 福司山氏は、本膳料理・三献の基本となる一汁三菜を例に、家庭料理の在り方などに言及。ご飯を中心とする日本型食生活に優れた健康志向・長寿食としての大きな可能性も指摘した。

 休憩を挟み、久留理事長が「みなさん、江戸時代へタイムスリップしましょう」と述べ、第二部がスタート。迎え唄や三味線の音に招かれ、西郷役の結忠臣さん、愛加那役の秋葉深起子さん、媒酌人・龍佐民役の安田壮一郎さんと石千代役の泉弘子さんが登壇し、ステージ上で西郷と愛加那の祝言を演じた。

 同時に参加者らのテーブルでは、赤椀配膳を終え一献、刺身配膳を終え一献と、当時の儀式や手順を踏まえて一品ずつ三献が配膳。参加者たちは、西郷・愛加那が食した逸品に思いを馳せながら、奄美が受け継ぐ三献の味に舌鼓を打った。

 この日は食後も、奄美の各地域の三献がスライドで紹介されるなど、隅から隅まで三献尽くし。最後は六調、万歳三唱で会を終えた。