希少サンゴの北限記録発表

希少サンゴの北限記録発表

アミトリセンベイサンゴの最北限記録と報告された大島海峡の群集(提供写真)

アミトリセンベイサンゴの上面拡大(提供写真)

島嶼研・藤井特任助教が共同研究者と報告
「豊かな海洋生物多様性示す」

 鹿児島大学国際島嶼教育研究センター奄美分室(以下、島嶼研)の藤井琢磨特任助教は9日、奄美大島沿岸で発見された希少種「アミトリセンベイサンゴ」が、同種の分布北限と学会誌に報告したことを発表した。藤井特任助教は奄美大島沿岸の内湾環境の豊かさを示す事例と評価し、一方で赤土の流入、開発行為の影響などで人為かく乱を受けやすい環境と指摘する。

 島嶼研の藤井特任助教は、共同研究者の千葉県立中央博物館分館海の博物館の立川浩之主任上席研究員と東海大学の横地洋之非常勤講師(元准教授)との調査で、大島海峡内湾から世界的に希少なアミトリセンベイサンゴの群集を発見して標本資料を採取。標本を基に日本動物分類学会誌『タクサ第44号』で、同サンゴの分布記録(北限更新)と分類学的知見を発表した。

 同サンゴは1990年に新種記録された希少種。国内は西表島網取湾周辺海域のみの分布で、世界的にも東南アジアの数カ所にしかみられない。IUCN(国際自然保護連合)のレッドデータリストで準絶滅危惧(NT)、環境省の海洋生物レッドデータリストでは絶滅危惧Ⅱ類(VU)に指定されている。

 今回の発見で、大島海峡で見つかった同サンゴの群集が分布の最北限で奄美大島からの新記録と判明。藤井特任助教は「発見された内湾環境は、ユニークな生態系で人為かく乱を受けやすい環境のひとつ。北限更新は奄美大島周辺海域の海洋生物多様性が想定以上に豊かなことを示す」と位置付けた。

 また同サンゴを奄美海洋展示館やかごしま水族館など飼育展示施設との共同研究で飼育観察も実施。藤井特任助教は、「同サンゴや内湾に生息するサンゴの生態解明も期待される」とした。