通訳ガイド・シリルさん夫妻

瀬留カトリック教会の信者らと3年ぶりに再会し、笑顔をみせるシリルさん(写真3列目の左から2番目)

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大島紬の織りを体験するシリルさん(提供写真)

欧州で奄美情報発信へ
文化や自然など 奄美大島の魅力体験 瀬留教会信者と再会も

 日本人の父とフランス人の母とのハーフで、仏国で通訳やコーディネーター、ガイドなどを手掛ける椎津シリルさん(53)、ナビハさん(56)夫妻が3日から、奄美大島入りしている。資料館や大島紬織り体験、海水浴など、奄美の歴史、文化、自然を楽しみながら体験。シリルさんは「奄美はヨーロッパ人が喜ぶ素材が多い。今後、フランスで奄美の情報を発信したい」と意気込んでいる。

 仏国で生まれた後、高校までを東京で過ごしたシリルさんは、語学力を生かした通訳や観光ガイドなどを行っている。龍郷町の瀬留カトリック教会で19年間神父を務めた「ブイジユ師」の生誕地仏・エネルシャトーを、奄美大島などから同教会信者ら21人が3年前に巡礼した際、シリルさんが通訳ガイドを務めたのが来島のきっかけ。

 奄美大島では、奄美市笠利町手花部出身の永田正人さんの妻・玲英子=れえこ=さんが、シリルさんと30年来の友人関係にあることから、永田さん夫妻が島内観光を案内。奄美入りした3日には、同市笠利町の歴史民俗資料館や宇宿貝塚史跡公園を訪れ、奄美の歴史や文化に理解を深めたほか、大島紬の織りも体験。7日には同教会でミサに参加し、3年前の巡礼者らと再会を喜んだ。

 これまで、プライベートで沖縄など日本国内を訪問しているシリルさん夫妻だが、奄美大島は初めてという。奄美での滞在を振り返り、「奄美には昔のままの自然や文化が体験できる場所が残っている。2~3週間のバカンスを楽しむ習慣がある欧州人にとって、ゆっくり過ごすことができ、一番好む観光資源がある」と分析する。

 一方で、「欧州の人が望む情報と奄美で発信する情報にミスマッチがある。奄美の情報を検索しようとしても情報が得られない」と指摘も。現地の観光の印象については「ホテルよりも、民宿や旅館など、日本や奄美の特徴を感じられる宿泊施設が少ない。Wi―Fi環境や現地情報の多言語案内も充実すれば、外国人も現地の人に頼ることなく観光を楽しむことができる」と強調した。

 シリルさん夫妻は10日まで滞在し、大島紬の泥染めなどを体験する予定。シリルさんは「現地の文化を肌で感じ、楽しみながら学びたい。今後フランスの旅行代理店などを通じ、ゆっくり滞在しながら、体験できる観光地として奄美をPRしたい」と話した。