伝統的建築次世代へ

21日にオープンする奄美市笠利町外金久の「伝・泊 FUNA―GURA

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宿泊施設の内装などを説明する山下社長

簡易宿舎「伝・泊」開所
奄美設計集団 笠利町外金久に

 奄美の伝統的・伝説的な建築を次世代へつなげるための宿泊システムを組み込んだ宿や活動「伝・泊」に取り組む㈱奄美設計集団(山下保博社長)は21日、奄美市笠利町外金久に簡易宿泊施設「伝・泊 FUNA―GURA」を開所する。山下社長=同町屋仁出身=は、「奄美の伝統的な建築を残す取り組み。これまで奄美を訪れたことのない層にワンランク上の宿泊を提供し、ゆったりとした時間を過ごしながら、奄美と本土をつなげたい」と意欲をみせている。

 「伝・泊」は「奄美の伝統を残し、島の良さを伝えたい」という思いから派生した山下社長の造語。同町屋仁集落の空き家の相談を受けたことなどを契機に、帰郷する機会が増えた1年前から本格的に活動を始めた。

 同社では2カ月前から同町内の空き家を調査。約3週間の改修期間を経て「FUNA―GURA」のオープンとなった。山下社長によると、「伝・泊」にかかる改修費用は同社が負担。少なくとも5年間以上の賃借契約を結び、契約終了後には建物を家主へ返還する。賃借期間は家主に賃料も支払われるという。

 「伝・泊」は築50~100年前の建築様式を体験し、ゆったりとした時間を過ごしながら、奄美の食を楽しみ、島を散策することなどがコンセプト。山下社長は奄美大島の伝統的な建築について、▽台風対策のサンゴ石や生垣・防風林、ブロック塀▽平屋で入母屋の屋根形状▽高床▽ヒキモン構造▽奄美の素材―など7項目を定義する。

 同社は開所を前に14日、報道陣を対象に内覧会を開催した。「FUNA―GURA」は約50年前の建築を改装したもので、建物面積は97平方㍍。間取りは台所を含む全6室。大きな特徴として廊下に奄美特有の材質「イスノキ」を使用している点を挙げる。

 滞在中はコンシェルジュサービスを行い、必要に応じて宿泊者の案内やサポートを行う。また集落住民との交流を目的に、島唄や隣家での食事などオプションサービスも実施する方向で検討を進める。

 奄美群島はバニラ・エアの就航や今後の世界自然遺産登録が見込まれることから、観光客の増加が予測される。山下社長は「40代以上の余裕がある人たちの宿泊の受け皿となり、ゆったりとした時間を過ごしてほしい」と強調。年度内に5棟オープン予定で、将来的には群島内で30棟の運営を目指すとしており、「空き家情報があったら一度連絡してほしい」と呼びかけた。

 「FUNA―GURA」の最大定員は大人4人、子ども(小学生以下)2人の計6人。料金は1~2泊の場合、大人(1~2人)2万8千円、子ども1人5千円。大人の追加(最大2人まで)は1人1万円。3泊以上の場合は割安になる。

 「FUNA―GURA」の予約はhttp://den-paku.com/amami/ などで。空き家情報などの問い合わせは℡0997・57・6103(同社・有馬さん)まで。