奄美市で「民泊」スタート

奄美市住用町内の4軒が民泊を開業

住用・一般家庭4軒開業
観光客の呼び込み期待

 個人宅を宿泊所として観光客を受け入れる「民泊」が5月1日から、奄美市内でスタートする。同市住用町の一般家庭4軒が体験民宿として開業。自然観察や集落散策、加工品づくりなど持ち味を生かした体験型メニューによる観光客の呼び込みに期待がかかる。

 民泊事業は、県の地域振興推進事業を活用し、奄美市が行う「五感で感じる自然遺産体験事業」の一環。奄美大島では加計呂麻島内の民家で学生対象の開業があるほか、徳之島、沖永良部島などで実施しているが同市では初めて。複数開業は群島内では例がない。

 宿泊数は1軒当たり5~8人。料金は1泊2食付、体験メニュー込みで8500円~となっている。開業宅には、リュウキュウマツでつくられた看板を掲げる。

 開業する町内3集落では、西仲間の「パンの木・しょうてん庵」(和田美智子さん宅)は農産加工品ジュースやジャムづくり、集落散策。見里の「ルパン爺とすずめの宿」(師玉当洋さん宅)は「住民とのふれあい」を重視し、菓子づくりや紬着付けなどが体験できる。

 役勝の「ほぉらしゃ家」(満香恵子さん宅)では集落を流れる役勝川での水遊びやリュウキュウアユ観察、マングローブ散策。同「はっぴーファーム」(坂本志麻さん宅)はファミリーを対象にしたキャンプ体験も。

 民泊事業を担うNPO法人「すみようヤムラランド」(満田英和代表)は昨年、民泊実現に向け、下部組織「すみよう体験民宿・モダマの会」を発足。今年3月中旬、各施設は名瀬保健所に「簡易宿所営業」を申請し、消防許可や避難経路の掲示など条件をクリア。同月末に許可を受け、5月開業にこぎ付けたという。

 西仲間の和田さんは、農業、漁業体験だけでなく、伝統行事を通じた「田舎暮らし」の魅力を挙げ、「自然散策、地域の食や八月踊りなどで思い出づくりにつなげられたらうれしい」と意気込む。

 同市住用総合支所産業建設課は、来年夏頃を目指す世界自然遺産登録を見据え、「このタイミングでのスタートに意味がある」と民泊の意義を強調し、「地域活性化をソフト面から展開するNPOの活動を行政としてもサポートしていく」(同課担当者)とした。

 宿泊の問い合わせはTEL0997―69―5081(ヤムラランド事務局)まで。