第10回沖永良部シンポ

島の食料・給食自給率について意見を出し合う参加者ら=知名町、フローラル館=

「食」テーマに持続可能な島つくり考える
食料、給食自給率アップを

 【沖永良部】「第10回沖永良部シンポジウム バァバの野菜が島の未来を創る」(同実行委員会)が19日、知名町フローラル館であった。島内外から100人ほどが参加。「食」をテーマにした基調講演のほか、分科会によるワークショップを行い、島の食料と給食の自給率を上げる方法を考えた。

 同シンポジウムは、「豊かな島とは何か」を考えようと、2009年から毎年実施。このシンポジウムを通じて、島の将来を考える「酔庵塾」が2014年に立ち上がり、17年には通信制の「星槎大学サテライトカレッジin沖永良部」が開校した。

 基調講演では、東北大学名誉教授で酔庵塾の石田秀輝塾長(知名町在住)が「持続可能な島つくり、10年を振り返る」と題して、過去のシンポジウムの内容や今後の取り組みを説明。

 続いて、ゲスト講師で食総合プロデューサーの金丸弘美さんは、食と連携した地域づくりから観光へとつなげている国内事業者や外国の事例を紹介。「食のブランド化のためにテキストをつくろう」と提案し、「地域食材の歴史や風土、品種、生産量、出荷窓口などを明確にすることでブランドが形成され、それがバイヤーと農家をつなぐ手段になる」とアドバイスした。

 与論島の活動報告もあり、現在有機農業に取り組んでいる与論町の池田吉光さんは「今まで食料のほとんどを外に頼ってきたが、それはいつまでも続かない。今後は、学校給食を有機にして子ども達の食の安全を守りたい」と話した。

 午後からは、参加者が生産流通と販売消費のグループに分かれ、「島の食料自給率50%と給食自給率100%を達成しよう」をテーマに意見交換。発表では「島に自生している野菜を活用する」「自給率100%のメニューを試作する」「給食センターの加工能力を生産者が知らないために、食材を提供できないのでは」「品種別に生産者を割り当て、給食に必要な分を作ってもらう」などのアイデアが出た。

 このほか、教育ワークショップも開催され、地元の子ども達が沖永良部産と島外産の米の食べ比べを体験した。