「すべての人が利用しやすい図書館に」

新しくなった医療・福祉コーナー

県立奄美図書館 職員ら発案で取り組み

 県立奄美図書館(有村真由美館長)では、子どもから高齢者まで、あらゆる人が図書館を利用しやすくなるための取り組みを行っている。読みやすい大活字本の配架をはじめ、館内のレイアウトも、利用者のニーズに合わせたものに変更。従来のようにただ本を借りるだけでなく、地域の人々の交流の拠点となるような工夫がなされているという。

 奄美図書館では2月の特別整理期間に合わせて模様替えを行った。館内の階段を上って3階閲覧室に着くと、まず最初に大活字版の本が目に入るようレイアウトされている。高齢者に手に取ってもらえるよう工夫した。三浦綾子『泥流地帯』などの名作をはじめ、新刊の大活字版も取り入れている。高崎智博館長補佐は「小さい字が読みにくくなる高齢者も、大活字版でどんどん読書してほしい」と話した。

 2階閲覧室には畳のコーナーがあり、近くには料理本の本棚を配置。小さい子どもを連れた母親が、親子でゆっくり読書できるようにと考えて空間をデザインした。さらに同フロアの奥まった位置に「医療・福祉コーナー」を移動。「がん情報ギフト」と銘打ってがん当事者が情報収集しやすくするとともに、プライバシーにも配慮した。ソファーも設置し、コーナーを訪れた当事者同士が交流を図ることもできる。

 ビジネス世代に対しても、館内に大島紬のポスターを掲示するなど、図書館として島の紬産業を応援する取り組みを行っている。高崎さんは「今後、図書館をよりユニバーサル(すべての人にとって利用しやすい)な空間にしていきたい」と語った。