世界遺産委の延期決定

世界遺産委の延期決定
新型コロナ影響
奄美・沖縄登録審査予定 延期後の日程は協議中

 ユネスコ世界遺産センターはホームページで、第44回世界遺産委員会を延期することを発表した。新型コロナウイルスの影響によるもの。本来は6月29日~7月9日、中国・福州で開催予定だった。延期後の日程は協議中。

 同委員会では、「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」の登録審査が行われる予定だった。2018年に続いて2度目の挑戦。環境省も背水の陣で臨んできた。しかし、新型コロナウイルスの世界的流行は開催予定地・中国、世界遺産センターがあるフランスをはじめとする各国に大きな影響を及ぼしている。

 世界遺産登録に向けた政府の動きは2013年にさかのぼる。同年12月、前述の4島を登録候補地に選定。16年には奄美群島の国立公園指定の動きが進んだ。

 17年、政府は推薦書をユネスコ世界遺産センターに提出。1度目の挑戦だった。同年、IUCN(ユネスコの諮問機関)の現地調査を受けた。18年、同機関から「登録延期」の勧告を受け、登録は叶わなかった。

 19年、希少種保護や外来種対策など推薦書をまとめ直し、同センターに再提出した。IUCNが指摘した課題にも取り組んできた。奄美大島ではノネコ管理計画に基づき、山中のノネコを捕獲排除する取り組みを行っている。

 希少植物の盗掘・盗採の問題も出てきた。これに対しては環境省奄美群島国立公園管理事務所が民間団体や警察などと連携し、夜間や休日のパトロール回数を増やしてきた。

 過剰利用(オーバーユース。観光客が特定の登山道などに集中することにより、自然が荒らされてしまうこと)の問題については、金作原で利用ルールが定められた。奄美市住用町の三太郎峠線などはルール作りに向けた住民意見交換会が行われていた。

 このように島ぐるみで世界遺産登録に向けた取り組みを行う中、同年秋にIUCNの現地調査を再度受けた。現状は、同機関の勧告を待っている状態。勧告は例年5月ごろに行われるが、今年の時期は不明。

 同センターはホームページで「新型コロナウイルスの影響について慎重に検討中」としてきたが、このほど「新型コロナウイルスのパンデミックに関連した世界情勢に鑑み、当初6月29日~7月9日に予定されていた第44回会合を後日に延期することを決めました。具体的な日付は協議中です。さらなる情報は可能な限り早く提供します」との文章を発表した。