奄美5市町村夏祭り中止

多くのチームが参加し盛り上がりを見せた昨年の「奄美まつり」舟こぎ競争

島内最大「奄美まつり」 「記録残っている中で初めて」

 新型コロナウイルスの全国的な感染拡大を受け、奄美市など奄美大島の5市町村は11日、夏の風物詩として毎年開催している島内の夏祭りについて、すべての中止することを決定した。島内最大の夏祭り「奄美まつり」は、これまでに台風など天候不良で、舟こぎ競争や花火大会など一部の行事が中止になったことはあるが、祭り事態が中止となるのは「記録に残っている中では初めて」(奄美市)とみられる。

 中止が決まったのは、奄美市の奄美まつり、三太郎まつり、あやまるまつり、大和村のひらとみ祭り、宇検村のやけうちどんと祭り、瀬戸内町の同町みなと祭り、龍郷町の龍郷ふるさと祭りの七つの夏祭り。

 緊急事態宣言が延長されるなど、新型コロナウイルス感染の終息が見通せない現状から、5市町村では祭りの協賛会や実行委員会などと協議を進めてきた。同日、龍郷町が中止を決定したことで、すべての祭りの中止が決まったため、5市町村の首長が連名で共同メッセージを発信した。

 メッセージで各首長は「多くの皆さんが楽しみにしていた年に一度のイベントであり、(中止は)苦渋の決断だが、島民の健康と感染の拡大防止を最優先に判断した」と説明、「感染が終息し、島民の安全・安心が確保できるようになったら、夏祭りを開催し、たくさんの人に楽しんでいただきたい」などと理解を求めている。

 島内最大の夏祭り「奄美まつり」は今年、57回目を迎える予定だった。これまでも台風の接近などにより、花火大会や舟こぎ競争、パレードなど、一部行事が中止や延期になったことはあるが、祭りそのものの中止は「記録に残っていない」(奄美市)と言い、天候以外での中止に、市紬観光課の担当者は「過去に前例がなく、聞いたことがない」と話した。

 まつり最大のイベントで、奄美の伝統文化として、毎年島内各地から約190チーム、約1500人が参加する舟こぎ競争も中止となった。奄美舟こぎ協会の実和則理事長(50)は「すべての祭りが中止となり、今夏の舟こぎ競争がすべてできなくなった。残念だが、コロナの影響を考えると仕方がない。来年にしっかりと思いをつなげるための充電期間ととらえ、次に生かせるようにしたい」と話した。