「日本全国民謡つなぎリレー」が目標の100人達成

「目指せ100人」と笑顔でバトンを渡した、前田博美さん

海斗くんの見事なチヂンで「喜界やよい島」を熱唱。次へとつないだ、牧岡奈美さん

シマ唄から始まった

 【東京】新型コロナウイルスの感染広がりが治まらない中、島の唄者たちが自らの唄う姿を通じて自粛生活を送る人たちを元気づけようと始めた「日本全国民謡つなぎリレー」が目標の100人をこのほど、達成した。インターネット上でつながっていった「絆」は、多くの人たちの心を温めたようだ。

 きっかけは、著名アーティストらによる動画配信リレーが話題となっていた3月下旬、あるシマ唄ファンの「『#シマ唄つなぎ』『#民謡つなぎ』誰かやってほしい」とツイッターでつぶやいたこと。それに沖永良部出身の唄者・前田博美さんが『#日本全国民謡つなぎ』としてこたえスタート。「目指せ100人!バトンをお渡し致します」と「いちきゃ節」を熱唱したのが4月11日のこと。

 13日に前田さんの思いをつないだのは、喜界島出身で埼玉県川越市在住の牧岡奈美さん。牧岡さんは息子・海斗くんの5歳とは思えない、巧みなチヂンで「喜界やよい島」をはつらつと歌い上げた。その後、「大好きな二人に」と里アンナさん(糸繰り節)、サーモン&ガーリック(すばやど節)へつなげた。やがてリレーは、榮百々代さん、平田まりなさん、田向美春さんら奄美ゆかりの人たちから、沖縄や慶応大学のグループや東北大学、青森の津軽三味線、そして北海道へと「民謡の輪」が広がっていった。

 中には海外在住の人やレコード大賞新人賞受賞者で、大相撲高安関の婚約者・杜このみさん、細川たかしさんの弟子の彩青(りゅうせい)さんらも参加した。各地から参加者が交錯しているとあって、誰が100人(組)目と断定はできないが、「100人超えは確か。 100人目は奄美の子どもたちだったらしい」(関係者)という。

「皆さんにつないでいただけて、本当にうれしい」と振り返る前田さんから、バトンを受けた牧岡さんは「最初に始めた博美ちゃんには感謝です。このイベントはシマ唄を多くの人に知ってもらえる、いい機会となったと感じております」。シマ唄から始まったリレーのゴールを見届けられ、声は喜びで弾んでいた。

 一方、一連の動きを見守っていた、公益財団法人日本民謡協会(品川区南品川)は「三味線講習会が中止となり、津軽三味線コンクールも延期となるなかで全国へ民謡が広められる素晴らしいコンテンツでした。100人達成、おめでとうございます」とコメントを寄せていた。