子牛生産者仲間たち(右)に黒毛和牛の消費拡大運動を展開する徳之島3町の肉用牛振興会やJA関係者=20日、徳之島町で
【徳之島】「私たち生産者も黒毛和牛を積極的に消費して消費拡大を」―。新型コロナウイルスの影響による外食や輸出需要の激減で、和牛の枝肉相場が過去5年間の最安水準に落ち込み子牛セリ価格にも波及。徳之島3町の肉用牛生産者組織は一丸となった取り組みとして、3町の全会員1226人を対象に、「黒毛和牛肉」(1パック250㌘ずつ)の配布を始めている。
子牛生産者団体は、▽JAあまみ徳之島町肉用牛振興会(基正幸会長・会員233人)▽同伊仙町肉用牛振興会(基山美奈子会長・会員522人)▽天城町肉用牛振興会(林栄作会長・471人)の3団体だ。
今年度は新型コロナウイルスの感染防止のためそれぞれ視察研修などが中止された上に、毎年開いている総会も「3密」防止のため書面総会に変更。17日の天城町を皮切りに各会員が直接持参する書面議決書と引き換えにドライブスルー方式で開始。JA系列(Aコープ)経由の黒毛和牛肉を基本1パック(販売頭数実績比で増加)を会費から還元している。20日は徳之島町でもあり、伊仙町は21、22日に予定している。
JAあまみ徳之島事業本部(畜産課)によると、コロナ禍で今年5月の子牛セリ価格の平均(3町)は約52万1154円(前年同月比約19万1354円安)までダウン。直近の7月セリは約62万1715円の戻し傾向に。3町一丸となった今回の運動は「黒毛和牛の消費は主に外食産業・観光業(外国)が中心で、家庭での消費は少ないと考えられる。子牛生産販売だけが目的ではなく肥育・販売・消費するまでが〝黒毛和牛の生産〟と考え、子牛価格の安定化のためにも消費拡大が重要」(同課)と位置づけた。
20日の徳之島町会場(同町亀津、JAあまみ徳之島事業本部前)には、各町会長や会員、同JA徳之島事業本部の平山正也統括理事、天城同の上岡重満統括理事らも参加。天城町振興会の林栄作会長(46)は「生産供給者の私たちは消費者でもあり、私たちが消費することで少しでも消費喚起につながればと思う」と話していた。